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★ 森林観光区画・人造湖の畔
向こう岸が霞むほど広大な人造湖の畔に、ギロロと夏美の姿。 水際から一段高い場所、大きな岩の上に、脚を伸ばして座る夏美。 その傍らで、彼女のパワードスーツユニットを１個ずつチェックしているギロロ。 夏美は、彼の一挙手一投足を、じっ、と見詰め、瞳を緩ませている。 背中の推進部を入念に点検しているギロロ、背後の動きに何故か頬を染める夏美。 そしてギロロ、ユニット主電源を最後に目視し、発光ダイオードがグリーンであるのを見る。 ギロロ「（確認し終え）よし、特に問題はなさそうだ」 夏美「（軽く両腕を振り）動きもいい感じよ。どうするのギロロ？」 ギロロ「（夏美のすぐ横に移動し）時間を置けば奴の思う壺だ。これ以上被害を出さない為にも、短時間で決 めたい。作戦概要は先ほど説明した通り、戦艦で乗り込んで来た場合、まずバリアを封じ込める。以降 は状況に応じて指示を出す。いいな？」 夏美「オッケー、解ったわ」 ふう、と息を継いで、眼前の湖面を眺める夏美。 隣で腕組みし、夏美と同じ方向に視線を向けるギロロ。 夏美「綺麗な湖ねぇ・・・ホントだったら、ちゃんと観光で来たかったなぁ」 ギロロ「そうだな・・・残念だが、今日はここが戦場になる」 夏美「・・・判ってるわ。もうあんなヤツの好き勝手にさせない。ここで決めなきゃ」 少しの沈黙。 ふと、ギロロに真っ直ぐな眼差しを送る夏美。 夏美「・・・ねぇ、ギロロ」 ギロロ「どうした？」 夏美「（薄く頬を染め）少し・・・話する時間あるかな？」 ギロロ「・・・あ、ああ」 訝し気ながら、身体を夏美に向き直らせるギロロ。 夏美「（更に朱に染まり）あ、あたしたちってさ・・・恋人同志・・・なのよね？」 ギロロ「（顔面真っ赤になり）んなっ！ ななななな！」 夏美「・・・どう・・・思う？」 ギロロ「（頭から湯気を出し）そ、そそそそそれはだな・・・その・・・俺は・・・そうであると・・・あると・・・（モゴ モゴ言って聞き取れず）」 夏美「（軽く微笑んで）何よぉ、ちゃんと言いなさいよぉ」 楽しそうな表情で、ギロロの胸に右手人差し指を当て、グリグリ、と円を描く夏美。 対してギロロ、口をパクパクさせたまま言葉が続かず。 夏美「（ふっ、と笑い）アンタらしいケド、たまには自信持って言ってほしいな・・・『お前は俺の女だ』とかさ・・・ （言ってから赤くなる）」 ギロロ「（少し驚いて）そっ！ そこまで言わないといかんのか！」 夏美「アンタのことだから、簡単には言えないでしょうね。そこがまたアンタらしいケド・・・もっとさ、あたしには 図々しいくらいでいいのよ、ギロロ。アンタだから、それも許せるの」 慈愛の眼差しと表情を向ける夏美。 顔を上げて、それを見据えて受け止めるギロロ。 夏美「（首を傾げて）もうひとつ、お願いがあるの。いいかな？」 ギロロ「・・・言ってみろ」 夏美「あたしはねギロロ、これからも一緒に戦うことになるんだったら・・・“約束”とか“絆”がほしいんだ・・・」 ギロロ「“約束”？ “絆”？」 夏美「そっ。別な言い方すれば―――“関係”―――かな・・・」 ギロロ「“関係”・・・それは、俺・・・とのことか？」 夏美「（僅かに潤んだ瞳で彼を見詰め）他に誰がいるってのよ？」 ギロロ「あ・・・（再び頬を染め）ああ」 夏美「このままでもいいかな、って思ってた。毎日アンタのことを見て、毎日話をして、たまにお芋焼いてもらっ て―――でもね・・・これはあたしの我儘だと思うんだけど・・・『ギロロとあたし』っていう“関係”をね、ハッ キリ見えるカタチにしたいな、って考えたの。これはあたしばっか思ってても仕方ないじゃない？ アンタ がどう思ってるか、聞かせてくれない？」 ギロロ「ハッキリ見える“関係”・・・か」 夏美「それでねギロロ・・・もしアンタがそれを認めてくれるんだったら・・・それがあたしの“御守り”になると思 うの。戦いだけじゃない。毎日の生活でも、これから生きていくのでも、辛いことや、苦しいことや、嫌なこ とがいっぱいあると思うケド、その“御守り”がある限り、あたしは絶対負けないと信じれるよ。それが出来 るのは、ギロロ―――宇宙広しと言えど、あたしにとってはアンタだけだからね」 ギロロ「・・・夏美・・・」 顔を伏せ、思考を巡らし始めるギロロ。 ギロロ 《夏美と俺の“関係”・・・“御守り”か・・・見えるカタチ・・・カタチ・・・》 やや顔を上げるギロロ。 少し瞼を伏せて、彼に視線を固定している夏美。 ギロロ 《どんなカタチにしたいか、希望はあるが・・・受け入れてもらえるのか？ 俺が勝手に思ってるだけ で、夏美はそこまで考えていないかも知れん。しかしそれも言えないようでは・・・夏美に訊くことも出 来んようでは、俺もそれまでだ。男としてそれまでだ・・・思い切るか、それとも・・・ハッキリしろ、俺！》 夏美 《あたしの気持ちは決まってる。アンタとの“関係”をどんなカタチにしたいか・・・それを言ってもいいんだ けど、もしギロロが同じ気持ちだったら・・・同じだったら、ちゃんと言ってほしいよ。照れまくってもいい。 口籠もってもいい。アンタの言葉で聞きたい・・・ギロロ！》 暫く、そのまま佇むふたり。 やがて、キッ、と視線を夏美に向けるギロロ。 ギロロ 《決めた！ 言うぞ！》 彼の眼差しに、ドキン、と心臓が跳ね上がる夏美。 一気に頬が染められ、目を丸く見開いてギロロの視線を真っ直ぐ受け入れる。 ギロロ「夏美！」 夏美「えっ！ な、何っ!?」 ギロロ「聞いてくれ！ ハッキリ言う！」 ゴクリ、と唾を飲み込み、一度だけ大きく頷く夏美。 目線を絡ませ、見詰め合うふたり。 ギロロ「（口許を引き締め）俺は・・・お前と・・・」 途端。 ゴウン！という大音響が、湖上遥か上空から轟く。 驚いて、その方向に目を向けるギロロと夏美。 すると、空のかなりの高さの位置に黒い渦が出現し、急激に回転しながら大きくなっていく。 渦の中心部が上側に凹むように窪み、更に深い黒色へと変化する。 バチバチバチッ、と渦の内側から壮烈な火花と電撃が起こる。 やがてその窪みから下に向かって、ヌーッ、と漆黒の機体が迫り出してくる。 段々と湖上の空間に姿を現わす、三角錐を歪めたような巨大な影。 ギロロ「（息を飲み）・・・次元転移！」 夏美「（目を凝らし）あれが・・・ヴァイパーの戦艦なの!?」 ゆっくりと降りてくる、恐ろしく巨大な戦艦。 まるで巻貝のような螺旋状のフォルム、凄まじい大きさの砲門が並ぶ。 戦艦の船首部に、ここぞとばかりにヴァイパーの目がデザインされている。 ギロロ「・・・ペコポンに来た戦艦よりも、優に10倍の容積はあるな。しかも悪趣味さに磨きが掛かっている。 みっともない自己主張なデザインだ」 夏美「（余裕がなく）そんな・・・あんなに大きいなんて・・・」 恐る恐る立ち上がって、全容を現わしつつある巨大戦艦を見る夏美。 一瞬、ブルッ、と震えて、不安気な表情と目線を戦艦に向ける。 夏美「（強張った声で）・・・勝てないかも・・・知れない・・・」 直後。 スゥーッ、と飛行ユニットの羽根で浮かんで、緩やかに夏美の眼前に来るギロロ。 ハッ、となって、自分の顔と同じ高さに浮かぶ彼の瞳を見詰める夏美。 ギロロ、右手を彼女の左頬に軽く添える。僅かに驚いた夏美、両目を潤ます。 ギロロ「夏美・・・お前の目の前には、誰がいる？」 夏美「（微かに声を震わせ）・・・ギロロがいる・・・」 ギロロ「そうだ。かつてあの戦艦など比べ物にならんほどの、巨大な宇宙要塞に立ち向かったこともある“戦場 の赤い悪魔”がいる。その時から思えば、あんな戦艦など小型宇宙艇と変わらん。いいか夏美、俺は 今から、あの戦艦を落とす。お前の力添えがあるなら、確実に実践出来る。そしてお前と共にペコポン に帰還するつもりだ。どうだ？ 今からあのヘビ野郎に、俺たちの繋がりを見せ付けてやろうじゃな いか？」 夏美「（段々と笑顔になり）・・・そうね。見せ付けてやろっか」 ギロロ「（ニッ、と笑い）俺に追いて来い。そして力を貸してくれ、夏美！」 夏美「（満面の笑みで）了解ッ!!!」 そして同時に頷き合い、ヴァイパー超巨大戦艦を睨むふたり。 瞬時にアフターバーナーに点火、宙に飛び出していく。 ★ 森林観光区画・人造湖（上空） 上昇を続け、ほぼ全容を現わした戦艦の正面に達するギロロと夏美。 距離約2000、その中空で停止して浮かぶふたり。 ギロロ、腕の通信機を入れる。 ギロロ「応答せよ、こちらはヴァイパー戦艦と対峙中だ」 ピピッ、と反応がある通信機。 ガルル『こちらからも大まかな状況は得られている。どうするつもりだ？』 ギロロ「今から奴に攻撃を仕掛ける。目標は、戦艦の撃沈」 ガルル『・・・対策と手段は理解出来る。だが成功率は高くないぞ』 ギロロ「考えがある。俺たちふたりなら、バリア対策から戦艦撃破まで一気に行ける」 ガルル『（ふう、と息をつき）解った。後のことは任せろ。いずれにせよ、奴を生かしてしまったのは俺の責任 だ・・・万が一の状況が発生した場合、即座に援護出来るよう準備しておく。思う存分やれ！』 ギロロ「（ふっ、と笑い）了解だ」 通信機を切るギロロ。前方のヴァイパー戦艦を睨む。 隣で彼を見詰める夏美。カシュッ、と薄い赤のアイシールドを装備。 ピッピッ、とアイシールド内にいくつかの数字が表示される。 ギロロ「作戦を再確認しよう。まずは奴に接近する。距離1500を切ったら、ビームライフルを転送させて一撃目 を加えてくれ。次元バリアを装備しているのなら、ビームは艦の近くで消失する筈だ。距離1000を切ると ソナーを打ってくるだろう。先ほど言った通り、無視して構わない。更に接近し“例の武器”を転送して 渡す。500まで近付いたらお前は上昇し、艦の真上。俺は下降して、艦の真下に位置する。それが成功 すれば・・・後は解体作業だけだ」 夏美「オッケーよ」 ギロロ「もうひとつ、出来うる限り奴の攻撃を後ろに逸らすな。全弾この空域で迎撃する。ここは観光地だか らな、一発足りとも汚らわしい傷跡を残す訳にはいかん」 夏美「まったくよね。（ヴァイパー戦艦を見て）あんなのに好き放題されてたまるもんですか」 再度、ギロロに視線を向ける夏美。 夏美「ねぇギロロ・・・」 ギロロ「何だ？」 夏美「（申し訳なさそうな声で）今、こんなこと話しちゃいけないって解ってるんだケド・・・さっきのギロロの話の 続き・・・聞かせてほしいな・・・」 ギロロ「（目を見開いて）・・・今か？」 夏美「（顔を伏せ）そう・・・今、聞きたいの・・・（再び顔を上げ）や、やっぱり不謹慎よね！ 我儘だと思ってる わよ！ でも・・・（声を落とし）待ち切れない・・・すぐにでも聞きたいの・・・」 ギロロ「・・・夏美・・・」 奥歯を噛み、キッ、と意を決した眼差しを向けるギロロ。 ギロロ「（凛とした声で）解った。だが一刻の猶予もない。迎撃しながら話す。それでいいか？」 夏美「（見詰め返し）・・・うん、お願い」 そして、湖上に身体を正対させるふたり。 彼方に浮かぶ、全容を完全に現わしたヴァイパー超巨大戦艦。 全体像は栄螺にそっくりな外観、色は漆黒、やたらゴテゴテとしたデザイン。 無数の砲門が艦全体から突き出ており、フュギュアヘッドの部分にヴァイパー像。 その船首部にはヴァイパーの目が、やたら大きく描かれている。 やがて、各砲門が次々に稼動し始め、こちらに照準を合わせ始める。 ギロロ「行くぞ！ ミッション・スタート！」 夏美「了解ッ！」 ゴウッ！とブースターに再点火するふたり。 ★ ヴァイパー超巨大戦艦・艦橋 戦艦上半部に位置する艦橋、その中央コンソールに座るヴァイパーＧＴ。 巨大なパネルスクリーンに大写しになっている、ギロロと夏美の姿を睨み付ける。 ヴァイパーＧＴ「（ギリッ、と歯軋りをして）クソが・・・よくもオレ様に恥ィかかせやがって！ 万倍にして返してや るぁ！」 手元のコンソールのキーボードに手を掛けるヴァイパーＧＴ。 ヴァイパーＧＴ「前回のオレ様とはワケが違う・・・ソナーもヴァージョンアップ、次元バリアも完璧だ。全100基の レーザー砲、総弾数10万発のミサイルを装備してるんだ！ この惑星諸共、火の海に沈めてや るぁ！ 覚悟しやがれぇ！」 タタタタタ・・・と凄まじい速さでキーボードを打つヴァイパーＧＴ。 そして、パシッ！と勢い良くエンターキーを叩く。 ヴァイパーＧＴ「（ニヤアッ、と笑い）ふたり仲良くあの世に逝けィ!!!」 ★ 森林観光区画・人造湖（上空） ボッ！と戦艦下部から射出される大型ミサイルが４本、ふたりに迫る。 即座に、右手に専用ビームライフルを転送させる夏美。 間髪入れず発射、先頭の一発の弾頭に直撃する光線。 ズガッ！と破裂するミサイル、粉微塵になって湖面に落下していく。 夏美のアイシールド内の距離計、1450と表示される。 ヴァイパー戦艦に砲身を向け、一発だけ発射する夏美。 一直線に伸びていくビーム、しかし本体に届かない位置で消失する。 夏美「バリア装備、確認ね」 ギロロ「ああ。やはり、な・・・」 ギロロ、両手に多弾頭ランチャーを転送。引き鉄を引く。 ドドドドドッ、と白煙の軌跡を描いて飛んで行く迎撃のミサイルポッド。 ２本目の大型ミサイルを破壊、更に３本目を砕く。 素早く右側のランチャーを武器庫に転送させて戻し、新たにマシンガンを転送させる。 ギロロ 《これを落としてから・・・言うか・・・》 ４本目に銃弾を浴びせ掛けるギロロ、同時に夏美のライフルが動く。 半分に割られた大型ミサイルの片側に、ビームを撃つ夏美。 ボンッ！と大きな爆炎が起こり、完全に消失するミサイル。 第一波のミサイル群を全弾撃ち落とし、夏美を見るギロロ。 ギロロ「（思い切り）夏美ッ！ い、今から言うぞ！」 夏美「いいわよっ！ 言って！」 ギロロ「（ゴクリ、と唾を飲み）お、俺はッ・・・」 戦艦の砲門が一斉にこちらを向き、次々とレーザー弾を発射し始める。 それをビームライフルで横に薙ぎ、相殺する夏美。 ギロロ「（時々声を上擦らせ）お、俺はだな！ ずっと以前からお前を護りたくて行動してきた！ 今もその気持 ちは変わらん！ お前が幸せなら俺の身などどうなっても良かった！ だがそれ以上に！ 俺は・・・俺 はお前と過ごす時間が何より幸せだった！」 別のレーザー弾の塊をマシンガンで片っ端から撃つギロロ。 撃ち漏らした弾をライフルで射抜く夏美。 夏美「（頬を染め）それで？ それでなーに？ ギロロ！」 戦艦の上部、側面の砲台が連続で露わになる。 第二波のミサイルポッド群、夥しい数が一斉に発射される。 間隙を縫って、中型ミサイルが十数本発射、一気にふたりに迫る。 ギロロ「（赤面も臨界に達し）だからその！ あのだな！ 本音を言えば・・・それは・・・だな・・・」 夏美「（満面の笑みで）なーに？ ちゃんと言ってよ！」 グレネードランチャーを手元に転送させ、即座に射撃するギロロ。 中型ミサイルを迎撃、大音響と共に消し飛ぶミサイル。 ギロロ「（湯気出しまくりで）俺はもっともっともっとお前と過ごす時間がほしい！ だからっ！ だからっ！」 夏美「だからなーに？ ギロロぉ！」 ミサイルポッドが大量に降り注いでくる。 夏美、プロトンレーザーを両下腕部ユニットから射出させ、左、右と薙ぎ払う。 ズドドドドドド・・・と連爆して、瞬時に中空を朱に染めるミサイル群。 爆炎と煙が凄まじい物量で、戦艦とふたりの間を覆い尽くす。 ギロロ「（全身まで朱に染め）俺と・・・俺と一緒になってくれ夏美ィィィィィィ!!!」 ギロロの声が宙一帯に轟き、反響を含んで残る。 彼を真正面から見詰め、目を見開いて潤ませる夏美。 夏美 《言ってくれた・・・ギロロが・・・》 少し息が上がっているギロロ。 夏美 《アタシと一緒になりたい、って言ってくれた・・・いつもは照れ屋で、アガリ症で、すぐに口籠もって真っ 赤になっちゃうギロロが・・・しかもあんな大声で・・・もう・・・ギロロってば・・・》 急速に、優し気な笑顔を浮かべる夏美。 目を細めてギロロに熱い眼差しを注ぐ。 夏美 《アンタ・・・最っ高ッ!!!》 煙と爆炎が薄れていき、戦艦方面から第三波の小型ミサイル群が放たれる。 同時に戦艦中部に並ぶ小型砲台がこちらに回転し、砲塔を向け始める。 ババババババッ！と一斉砲撃を開始する砲台群。 ランチャーで反撃し、マシンガンでも迎撃するギロロ。 夏美「（嬉しそうに）ねぇギロロぉ！」 ギロロ「（ハッ、として）何だ？」 盾でいくつかのレーザー弾を受け止めて消す夏美。 第三波の小型ミサイル群を一瞬確認し、自分の両側の宙にファンネルを出現させる。 縦に５基ずつ並んだファンネル、夏美が目視するより早く先頭のミサイルにレーザー射出。 ドゴン！と爆破される、いくつかの小型ミサイル。 夏美「あたしが答える前に、質問に答えてくれるーっ？」 ギロロ「何だ？ 言ってみろっ！」 尚も迫り来る小型ミサイル群に、顔を向ける夏美。 途端、ファンネルが一斉に、鮮やかな直線でミサイル群に飛んで行く。 ドゴゴゴゴゴゴッ！と猛烈な爆発と爆炎が起こり、瞬時に天空を彩る。 先ほど以上の物量の煙が、戦艦とふたりの間に充満する。 夏美「（はち切れんばかりの笑顔で）あたしをギロロのお嫁さんにしてほしいんだけどーっ!!!」 ピタ、と動きを止めるギロロ。 向かい合わせて、可愛らしい笑みを湛える夏美。 緩やかにギロロの表情が融解し、白目のまま目尻を思い切り下げる。 ギロロ「ま・・・ま・・・（赤面炸裂で）まかせとけぇぇぇぇぇっ!!!!!」 口を目一杯開き、腹の底から声を張り上げるギロロ。 口許が綻び、白い歯を覗かせて笑う夏美。 夏美「それとっ！ さっきの答え！ （一度息を吸い込んで）一緒になるよっ！ 喜んでっ!!!」 全身真っ赤のまま、満面の笑顔になるギロロ。 大きく一度頷いて、スッ、と彼に近寄っていく夏美。 ★ ヴァイパー超巨大戦艦・艦橋 ふたりの様子をメインパネルで見て、呆然としているヴァイパーＧＴ。 すべての砲撃と攻撃をことごとく掻き消され、尚も余裕がありそうなギロロと夏美。 しかもふたりで見詰め合い、満面の笑みすら浮かべている。 ワナワナと震え、見る見る憤怒の形相へと変化するヴァイパーＧＴ。 ヴァイパーＧＴ「（声を強張らせ）こ・・・このクソ野郎ども・・・」 口角から泡を吹き、歯を思い切り噛む。 ヴァイパーＧＴ「（怒声）何処まで舐めくさったら気が済むんだゴルァァァァ!!!」 コンソールキーの黄色いボタンを、バン！と握り拳で叩くヴァイパーＧＴ。 近くのモニターが突如変化し、ミサイルやレーザー弾の名前をずらずらと表示する。 それらが次々に、ピーッ、というアラーム音と共に赤い表示に変わる。 艦橋内のあちらこちらから連続して湧き起こるブザーやアラームの音。 ヴァイパーＧＴ「全砲門一斉攻撃でくたばりやがれェ！」 直後。 艦橋から見える前方の中空と、メインパネルの画面がほぼ同時に光で真っ白になる。 途端、艦の外から、ドウン！と一際大きな爆発音が轟く。 続いて、ドゴゴゴゴゴゴゴッ！と凄まじい連続爆破が発生。 艦橋全体が、ビリビリビリ・・・と震えて治まらない。 やがて、ゆっくりと終息する。 ニイヤァ、と口の端を醜く歪め、満足気な笑いを浮かべるヴァイパーＧＴ。 艦橋の窓の外と、メインパネルは黒煙と白煙で覆い尽くされている。 暫くして、少しずつ薄まっていく煙。 凄まじい量の煙が風に流されて、その空域を露わにする。 そこには誰の姿もない。ただ、真っ白な球形の物体が浮かぶ。 訝し気にそれを睨むヴァイパーＧＴ。 突然、その球形が、パン！と割れて、中からギロロと夏美の姿が現れる。 ふたりは固く手を繋ぎ合い、戦艦を睨み返している。 思わず椅子から立ち上がって、膝をコンソールの縁にぶつけるヴァイパーＧＴ。 ヴァイパーＧＴ「（痛みに顔を顰め）痛ェッ！ チクショウッ！・・・（呆然と口を開け）何でヤツらは無傷なん だァァァ!!!」 ★ 森林観光区画・人造湖（上空） ギロロと夏美、力強く手を握り合って見詰め合う。 ギロロ「一度きりの使い捨てだが、対艦ミサイル防護シートが役に立ったな」 夏美「（微笑んで）ヴァイパーが驚いてる、今のうちに反撃ね」 同時にヴァイパー超巨大戦艦の艦橋方面を睨み、ニッ、と不敵に笑う。 ブースターに点火、一気に戦艦との距離を詰めるふたり。 ギロロ「まったく・・・無粋にも程があるな。いい雰囲気が台無しだ」 夏美「あんなヤツにはお仕置きが必要だと思わない？」 ギロロ「同感だ！」 それまで持っていた武器を全部転送して戻すふたり。 すぐさまギロロ、２本の武器を新たに転送してくる。 先端に大きな筒状のユニットが付いている、ロケットランチャーに似た武器。 その１本を夏美に手渡すギロロ。 ★ ヴァイパー超巨大戦艦・艦橋 冷や汗が一筋、タラリ、と額から流れるヴァイパーＧＴ。 ヴァイパーＧＴ「・・・次から次へと舐めた真似しくさってぇ・・・こうなりゃテメェらのシステムをブッ壊して、それか ら攻撃再開といくか・・・」 ギリッ、と奥歯を噛み締め、コンソールのキーボードを操作する。 サブモニターに表示されるレーダー画面に、カウントダウンしている数字がある。 それが1000を切った瞬間、ニヤリ、とひねた笑いを晒すヴァイパーＧＴ。 そして傍らの銀色のボタンを、タン、と押す。 カーンッ！と大音量の金属音が、戦艦前方の中空全域に響く。 しかしその中を、平然と突き進んで飛行するギロロと夏美。 それがメインパネルに大写しになっており、愕然とするヴァイパーＧＴ。 狂ったように銀色のボタンを連打しまくる。 カーンッ！ カーンッ！とやたら短い間隔で鳴り続けるソナー。 あまりにも連打し過ぎた為、とうとうシステムモニターがブルースクリーンとなる。 ピーッ、というアラーム音。続いてモニターに“Sonar：Breakdown”と表示。 それきり、ボタンを押してもソナーはまったく反応せず。 ヴァイパーＧＴ「（顔面蒼白で）ウソだろォ！ 壊れちまったァ!!!」 ★ 森林観光区画・人造湖（上空） ソナーが止んだことを確認し、再び顔を見合わせて笑顔になるギロロと夏美。 夏美「してやったり、ねっ」 ギロロ「思った以上に間抜けだな、奴は。俺たちケロン軍が、いつまでも後手に回ってると思ったら大間違い だ。クラッシュソナー対策など、とうの昔に完了している」 ギロロ、軍帽の左側、こめかみの辺りに手を触れる。 途端、カシュッ、と薄いオレンジ色のアイシールドが装着される。 ピピピピピ・・・と何かのデータと数字が、その中にスクロールされて映し出される。 ギロロ「よし、準備完了だ。距離500で二手に分かれるぞ」 ふと、こちらを、じっ、と見詰める夏美に気が付くギロロ。 ギロロ「どうした？」 夏美「（ニッコリと笑って）アイシールド、お揃いだなぁ、って思って」 はにかむ笑顔を彼に向ける夏美。 ふっ、と満足そうに笑い返すギロロ。 ギロロ「（落ち着いた声で）色違いの、な」 ふたりのアイシールド内の距離計、600を切る。 互いに手にした武器を構え、前方のヴァイパー超巨大戦艦を凝視するふたり。 距離計がカウントダウンを続行、遂に500を表示する。 ギロロ「（大声で）今だっ！」 バッ、と離れるふたり。 夏美は急上昇し、戦艦の真上に向かう。ギロロは急降下し、戦艦の真下へ向かう。 ほとんど同じ速度で回り込み、ほぼ同時に所定の位置に到達するふたり。 夏美は戦艦の垂直方向真上、ギロロは垂直方向真下。 即座に、武器をそれぞれ戦艦に向けて構える。 互いにアイシールド内の十字型のターゲットマークを注視し始める。 ギロロ 《夏美・・・俺を感じろ・・・お前なら出来る！》 ピピピピピピ・・・とマークが上下左右にぶれ、なかなか安定しない夏美。 息を詰め、微かに震える腕から力を少し抜く。 夏美 《ギロロ・・・行くよっ！》 直後。 ふたりのターゲットマークが、まったく同時に反応。“Lock On”と赤く表示される。 ギロロ・夏美「「発射ッ!!!」」 動きすら同調したかのようなタイミングで、引き鉄を引くふたり。 武器先端部の筒状ユニットが、バシュウウウッ！と一直線に戦艦に飛ぶ。 垂直上下方向からユニット、戦艦周囲に張り巡らされている次元バリア付近に到達。 途端。 バリバリバリバリッ！と、ユニットから凄まじい蒼白い雷電が放出。 それは一気に戦艦上下から覆っていき、まるで巨大な卵のように全体をカバーしてしまう。 暫くの間それは続き、やがてユニット周囲の僅かな火花を残して終息する。 戦艦上下には、ユニットが最初の放電を始めた位置に浮かんだまま。 ★ ヴァイパー超巨大戦艦・艦橋 ポカーン、と口を開けて立ち尽くしていたヴァイパーＧＴ。 放電が治まった頃に、ハッ、と我に返って、メインパネルと艦橋の外を見る。 すると、艦橋前方の中空に再びギロロと夏美の姿が現れる。 ギロロは艦の下方から、夏美は艦の上方から、艦橋からも目視出来る距離に登場。 ヴァイパーＧＴ「よーし、そこを動くんじゃねぇ・・・今から殺してやっからよぉ！」 コンソールの黄色いボタンを、勢い良く押すヴァイパーＧＴ。 戦艦の砲台が一斉にふたりに照準を合わせ、砲撃を開始する。 前方の視界が瞬時に真っ白くなり、大量のレーザー弾が発射。 直後。 ドゴン！ ドガガガッ！ ズズズズガガン！と、とんでもない音量の破壊音。 同時に、艦橋のすぐ下の砲台が次々と破壊されて爆破されている。 艦橋全体が、まるで地震のように前後左右上下に振り回される。 とうとう立っていることが出来ず、床に放り出されるヴァイパーＧＴ。 腰をしたたか打ち、顔を思い切り歪めて痛みに耐える。 振動が治まってから、這いつくばってメインコンソールに近寄る。 ヴァイパーＧＴ、椅子をよじ登り、やっとのことでシステムモニターを見る。 ヴァイパーＧＴ「（息を切らし）い、一体何が起こったっつーんだ・・・」 そして、画面を覗き込んで、驚愕の余り息を止める。 ヴァイパーＧＴ「（声を引き攣らせ）バ！ バリアが極性反転されてやがるぁ！ ウ、ウソだウソだウソだウソ だウソだウソだァァァァ！ こんじゃ嬲り殺しじゃねぇかァァァァ！」 ★ 森林観光区画・人造湖（上空） 戦艦からの砲撃が、すべてバリア内に跳ね返ったのを確認し、頷くギロロ。 ギロロ「上手くいったな。ケロン軍テクノロジーの傑作『極性反転ユニット』・・・単一指向性次元バリアだから こそ、これだけ絶大な効果が出たんだ。これで奴の攻撃はすべて内側に跳ね返り、こちらからは攻撃 し放題となった」 夏美「まったく、アンタたちってやっぱ凄いわねー。あたしたちじゃ考えも付かないわ」 ギロロ「（夏美を見て）さて、解体作業に向かうか」 夏美「（ギロロを見て）ええ、一緒に行こっ！」 バッ、とふたり並んで飛行開始し、ブースター点火で一気に戦艦下部に向かう。 鮮やかな軌道を描き、ヴァイパー超巨大戦艦の最下部が目視出来る位置にまで到達。 ギロロ「俺がまず戦艦装甲を撃ち破る！ その穴から戦艦内に突入後、夏美はプロトンレーザーをマックス モードで射出して片っ端から壊しまくれ！ 遠慮なく暴れて構わん！ 俺は垂直方向に進路を拓く！ 一気に真上に向かうぞ！ 最後に戦艦から脱出したら、最上部ユニットを止めてから真っ直ぐ離脱する！ 俺から離れるなよ、夏美ッ！」 夏美「言われなくても離れるもんですか！ これからもずっと追いてくよ、ギロロっ！」 見詰め合って、笑顔を交すギロロと夏美。 そして、キリッ、と進行方向に目線を投げる。 右手に多弾頭ミサイルランチャー、左手にマシンガンを転送させるギロロ。 下部の極性反転ユニットの更に下方で、飛行を垂直真上に向けるふたり。 ランチャーの引き鉄を引くギロロ、数発の小型ミサイルが白煙を残して飛ぶ。 戦艦下部に命中し、ドゴゴッ！と炸裂して装甲を撃破。10メートルを超える穴を開ける。 垂直に加速し、上昇していくギロロと夏美。 ギロロ「（腹の底からの声で）おおおおおおおおっ！」 夏美「（腹の底からの声で）はあああああああっ！」 気合い一閃、戦艦内に飛び込んでいくふたり。 やがて静かになる周辺。 ★ ヴァイパー超巨大戦艦・艦橋 顔面蒼白で艦橋内を走り回るヴァイパーＧＴ。 あちこちの機器を見ては、イライラと叩いたりして八つ当たりをしている。 ヴァイパーＧＴ「（焦燥して）チクショウチクショウ！ 何でオレ様がこんな目に遭わねぇといけねぇんだよ！ 天 才で不死身なオレ様が、ここまでバカにされていいのかってんだ！」 直後。 足元の方から、ズズズズズズズ・・・と重低音の響きが聞こえてくる。 更に、ズン、ズン、ズン、と規則正しいリズムで轟き、艦橋の窓やモニター類を振動させる。 ヴァイパーＧＴ「（怯えた様子で）・・・な・・・今度は一体・・・」 近くのモニターに映される艦内図を見るヴァイパーＧＴ。 そこには、戦艦下部から次々と赤く色塗りされている艦内見取り図の画面。 続いて、艦橋内に凄まじい音量のブザーやアラームが鳴り出し始める。 そしてすべてのモニターに“Warning”や“Danger”という文字が点滅して表示。 段々と真下から迫ってくる、とてつもない振動と破壊音。 ヴァイパーＧＴ「（引き攣って）まさかヤツらがッ!?」 突然。 ギャンッ！ ドギャガガガガッ！と艦橋の床から飛び出てくるピンク色のレーザー。 それが縦横無尽に室内を暴れ回り、コンソールや機器類を片っ端から斬りまくる。 ヴァイパーＧＴ「（悲鳴）ヒャアアアッ！ 救けてくれェェェェェェッ!!!」 死に物狂いで逃げ惑い、床や壁に身体を叩き付けて泣き叫ぶヴァイパーＧＴ。 ★ 森林観光区画・人造湖（上空） ヴァイパー超巨大戦艦の最頂部、尖った部分が一瞬光に包まれる。 次の瞬間、ボゴォォォン！と上に向かってその場所が砕け散り、中からふたつの影。 爆発の中心から一気に、その上の宙に飛び出してくる、背中合わせのギロロと夏美。 すぐ上に浮かんで火花を飛ばしている極性反転ユニットを、銃で撃つギロロ。 ブウン、とユニットが沈黙し、スパークを止めて落下する。 ふたりが躱したそれが、先ほど壊した装甲から戦艦内部に吸い込まれる。 それを確認し、すべての武器を転送して戻すギロロ。 ギロロ「（低音の声で）ミッション・コンプリートだ」 更に上昇を続け、戦艦を遥か足元に見た高空で速度を落とし始めるふたり。 直後。 ドゴゴゴゴゴォォォォッ!!!という、今まで聞いたことない大爆発が戦艦を飲み込む。 瞬時に全体が炎に包まれるヴァイパー戦艦。 ズゴン！ バガッ！という連続爆発が限りなく繰り返されている。 遂に、重力に耐え切れなくなって、猛スピードで落下を開始する。 カシュッ、とアイシールドを収納する夏美。ギロロも同様に格納する。 それから向かい合い、見詰め合うギロロと夏美。 緩やかに回りながら両手を伸ばすふたり。 夏美の両手がギロロを包み、ギロロの両手が夏美の頬に触れる。 やがて目を閉じ顔を寄せ合い、口を近付ける。 ギロロと夏美、唇を重ね合う。 暫くの間そのまま、互いの温度を感じ合い、動かない。 惜しむように唇を離し、再び見詰め合う。 ギロロ「（真剣な声で）Natsumi,my love...Kiss me tender and hold me tight forever...」 夏美「やっと言ってくれたね・・・ギロロ・・・」 ギロロ「すまなかった・・・」 夏美「ううん、嬉しいよ・・・最高に嬉しいよ・・・」 ギロロ「俺でいいのか？ こんな俺で本当にいいのか？」 夏美「アンタこそ・・・あたしでいいの？」 ギロロ「夏美でなければ、何の意味もない。お前以外にはいない」 夏美「（ちょっと視線を外し）もう・・・いつも口籠もるくせして、こんな時には真っ直ぐなんだから・・・恥ずかしい じゃないのよ・・・」 ギロロ「夏美・・・もう一度聞く。本当に俺でいいんだな？」 夏美「（再び見詰め）あたしも・・・ギロロじゃなきゃヤなの。ギロロじゃなきゃダメなの」 ギロロ「光栄だな・・・ありがとう」 夏美「ううん、こちらこそ・・・ありがと、ギロロ」 ゆっくりを身体を寄せ合うふたり。 夏美「（嬉しさに震え）Giroro,my love...Kiss me tender and hold me tight forever...」 再度目を閉じ、唇を重ね合うふたり。 遥か足下で、何度も爆破を重ねて湖上に落下するヴァイパー超巨大戦艦。 度重なる爆発の光が混合され、ギロロと夏美の姿を美しく彩る。 ★ 市街地観光区画・電波塔最上部 遥か彼方に見える湖の上空から墜落していくヴァイパー戦艦。 それを腕を組んで眺め、ふっ、と笑みを浮かべるガルル。 隣で双眼鏡を使い、撃墜の様子を確認しているギロ/ガル父。 ふたりとも、背中に飛行ユニットを装備した状態。 ガルル「（しみじみと）・・・ふたりとも、見事だ」 ギロ/ガル父「（双眼鏡から目を離し）やりやがったなぁ。まさかホントにあんなんを落としちまうたぁ、成長しや がったなギロロの野郎」 ガルル「それも夏美くんのお陰だろう。彼女と出逢えたからこそ、成し得た勝利だ」 ギロ/ガル父「ちったぁ肩の荷が下りたか？ ガルル」 ガルル「（訝し気に）・・・何の話だ？」 ギロ/ガル父「俺の前でとぼけんじゃねぇよ。おめぇはガキん時からギロロにずっと目ぇ掛けてたくれぇ、俺も かーちゃんも丸解りだったんだぞ。ギロロの野郎が思った以上にヒネちまったんでな、おめぇとし ても気が気でなかったんだろ？ ま、嬢ちゃんと一緒になるのは間違いねぇだろうから、後は任 せて、おめぇはおめぇ自身のことを考えとけや、な？」 ガルル「（暫し沈黙し）・・・何の話か解らんが、言葉は受け取っておこう」 ギロ/ガル父「（不敵に笑って）かーっ、素直じゃねぇなぁ。こんな野郎に誰が育てたよ。ああ、俺だ俺だ。カッ カッカ！」 愉快そうに爆笑するギロ/ガル父。 父親に身体を向け、腕組みを解くガルル。 ガルル「（静かな口調で）まだ大きなミッションが残っている。協力を頼むぞ、親父」 ギロ/ガル父「（ニッ、と笑い）おう！ やらいでか！」 対して、大きく頷いてからもう一度彼方の湖上に目をやるガルル。 【Ｎ】「まさしく大波乱な展開で、とうとうギロロ伍長と夏美ちゃんは結婚の約束を交わしました。しかしまだまだ、 ふたりが落ち着くまではいくつものヤマがあるんですよ。取り敢えずは次のお話を読んでから・・・いよいよ 次回！ 地球に戻ります！ さて！」 To be continued... [chapter04] |
