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★ 日向家・リビング
夏美【Ｎ】「ギロロとお義兄さん、ママがカラオケに行ってから１時間くらい過ぎました。その間、お義兄さんが 持ってきてくれた・・・その・・・ギロロとあたしの、ブ、ブランドグッズ・・・改めて口にすると恥ずかしいわ ね・・・えと、その試作品を一通り見てみました。何つーのかな、自分たちの写真とかロゴとかの入っ た品物が手元にあるって、変な気分よねぇ。でも・・・」 グッズの試作品を一個一個、丁寧に手に取って見詰める夏美。 その中のひとつ、ふたりの写真がプリントしてある壁掛け時計を手にする。 直径30㎝ほどの円形のプラスチック製の時計、銀色の縁。 白い文字盤、外周側にケロン語の数字が並ぶ。紅い２本の針。 微笑んで向かい合っているギロロと夏美の写真、セピア色に加工されて文字盤右側にある。 その写真を暫く、じっ、と見詰め続け、やがて嬉しそうな笑顔になる夏美。 そして時計を他のグッズと同様に、床に置いてから立ち上がる。 夏美【Ｎ】「さてと、そろそろお昼の準備、しとかないとね。お義兄さんは前の煮っ転がし、気に入ってくれてたよ うだから、味付けは普段通りでいいかな？」 夏美、鼻歌混じりでキッチンの方に移動する。 いそいそと冷蔵庫を開けて野菜を取り出し始める。 突然。 リビング、庭側のサッシが、ガララッ！と急に開く。 ヴァイパー「お邪魔します！」 夏美「キャアッ！（里芋をお手玉して落としそうになる）」 慌てて振り向く夏美。 サッシを全開にしてその縁に手を掛け、覗き込むような姿勢でこちらを見ているヴァイパー。 途端に夏美、思い切り眉を寄せて怪訝極まりない表情となる。 夏美「（ふう、と息をつき）誰かと思ったら普通のヴァイパーじゃない」 ヴァイパー「（怒り）普通って言うなーッ！ 妙に失礼だぞソレ！」 夏美「・・・で？ 普通のヴァイパーが何の用？」 ヴァイパー「（怒声）だから普通って言うなーッ！ 結婚して浮かれてるのはいいが、ちっとは弁えんかッ！」 夏美「何で知ってるのよ？ ま、いいわ・・・あたしが浮かれようが何だろうが、アンタには関係ないじゃない？」 ヴァイパー「それがそういう訳にはいかねぇんだなぁ。動画サイトにあるテメェらのビデオのことだ」 夏美「（訝し気に）・・・どういうこと？」 目線をヴァイパーに固定したまま、手にした里芋を傍らのシンク横に置く夏美。 警戒を全面に出し、汗が一筋こめかみを伝う。ゴクリ、と唾を飲み込む。 夏美「・・・まさか、アンタの同族の復讐に来たんじゃないでしょうね？」 ヴァイパー「（フン、と鼻で嘲笑って）ヴァイパーＧのことか？ ああ、ヤロウはヴァイパー族の面汚しだ。昔っか らオレらを蔑んでた上に、やっちゃいけねぇことまで平然としやがる。いつまでも放っときゃヴァイパー 族全体に迷惑が掛かるってことでよ、いずれはオレらが手ェ下そうかと考えてたんだ。だがその前に テメェらに叩き潰されたって訳だからな、むしろ清々してっとこだ」 夏美「じゃあ、何で来たワケ？」 ヴァイパー「（ニヤリ、と笑い）しかしいくら潰してくれたとは言え、あんだけ大々的にヴァイパーのシンボルが描 かれた戦艦が撃墜されっとこを全宇宙に流されてんのは、ちっとばっかし勘弁願いてぇんでなぁ。ど ういうカタチにしろヴァイパー族がボロカスに叩かれる映像だからよ、オレらがヘタレの烙印を押され まくってんだ。オレらにもプライドっちゅうもんがあるんだぜ」 夏美「アンタらのプライドまで知ったこっちゃないケド・・・つまりはこう？ あの映像ファイルを削除しろ、って言い にきたの？」 ヴァイパー「削除すんなら、ここまで来る必要はねぇ。それに、削除すんのが目的じゃねぇ。本当の目的は・・・ （後ろを指差し）こっちだ！」 ヴァイパーが指した方向を見る夏美。そして、息を飲む。 ヴァイパー後方に浮かんでいる直径15㎝ほどの球体、カメラのようなレンズが確認出来る。 ふわふわと宙を漂い、ジーッ、とレンズが動いて時折こちらに向くのが判る。 ヴァイパー「要はな、オレがお前らをブッ倒すのをビデオに撮って、それを宇宙インターネットに上げれば・・・（ニ ヤッ、と口を歪め）無敵の呼び声も高いテメェたちを倒したオレは、もっともっと強いと賞賛されるだろう よ！ ガーラガラガラ！」 夏美「（短く息を継ぎ）・・・腐ってもヴァイパーね。遣り方がえげつないわ」 ヴァイパー「褒め言葉と・・・受け取っておくぜぇ!!!」 左手のサイコガンを、ジャキッ！と夏美に向けるヴァイパー。 途端。 リビングの入口の向こうから、凄まじい勢いで飛び込んでくる影。 バン！と空気を叩き割る振動と、ビュンッ！という裂空音が部屋中に轟く。 思わず両眼を固く閉じる夏美。突然のことに顔を伏せるヴァイパー。 スタン、と何かが着地するような音がする。 沈黙。 夏美、ゆっくりと両目を開ける。 すぐ目の前の卓上に仁王立ちになり、右手に銃を構えてヴァイパーに向けるギロロの姿。 既に両の瞳は灰色に染まり、怒りの形相でヴァイパーを睨んでいる。 その後ろ姿を目にした直後、見る見る安堵の笑顔になる夏美。 夏美「（嬉しそうに）ギロロっ！」 ギロロ「（チラ、と振り向き）無事か、夏美？」 夏美「うん！ 大丈夫！」 ヴァイパー「（顔を上げ、感心したように）ほほお？ 旦那のご登場か・・・こりゃあ都合がいい、纏めてテメェらを 倒せば、オレの株も鰻登りって訳だ！」 ギロロ「貴様の妄言に付き合う暇はない。それ以上夏美に近付いてみろ・・・（ギン！とヴァイパーを睨み）生ま れて来たことを後悔させてやる！」 ヴァイパー「ガーラガラガラ！ 言うねぇ！ 後悔すんのはテメェらの方だ！」 ダン！と土足のまま、リビングに上がってくるヴァイパー。 ニイヤァ、とひねた笑いを前面に貼り付け、サイコガンを構えたまま歩を進めようとする。 突然。 パキッ、と何かが割れて砕ける音が響く。 ヴァイパーの左足の下に、全員の視線が集まる。 夏美・ギロロ・ヴァイパー「「「あ」」」 思わず左足を退けるヴァイパー。 床にあった試作品の壁掛け時計が、見るも無惨に歪み、ひしゃげて割れている。 ヴァイパー「（割れた時計を見て）おおっと、ウッカリ割っちまったようだな。まあいい、テメェらも同じ・・・ん？」 再度ふたりを見て、急に表情を変えるヴァイパー。引き攣ったように驚く。 ギロロと夏美、背後に炎を背負い、ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・と地鳴りのような音を放つ。 ふたりの顔には黒い陰が降り、両眼は吊り上がって爛々と真っ赤に染まっている。 あまりの凄まじいオーラに、慌てたように目をキョロキョロさせるヴァイパー。 ヴァイパー「（冷や汗を流し）え？ え？ え？ ちょ、ちょっと・・・」 ギロロ「（怒り全開で）・・・キッ・・・サッ・・・マァァァァァッ!!!」 夏美「（怒り全開で）何てコトすんのよぉぉぉぉぉっ!!!」 途端。 夏美、ビュッ！と瞬時にヴァイパーとの間合いを詰め、間髪を入れず右脚を振る。 直線の動きで、ボドゴォッ！とヴァイパーの腹部に渾身の蹴りを見舞う。 一瞬身体が“くの字”に曲がり、途端にサッシの外に吹っ飛んでいくヴァイパー。 そのまま庭を横切って、ブロック塀に、ベシィィィッ!!!と大の字に叩き付けられる。 塀から剥離したヴァイパーの身体、グラ、と前のめりに戻り、ズン、とうつ伏せに倒れる。 僅かの時間そうしていた後、腹部を擦って顔を顰めて身体を起こすヴァイパー。 ヴァイパー「（歯を食い縛って）痛テテテテテ・・・何つー蹴りだ。武装なしでこんだけのパワーがあるんかよ・・・ （ハッ、と顔を上げ）え？」 すぐ目の前に仁王立ちになり、先ほどの怒りの形相のままで相手を睨むギロロ。 突然、ジャキジャキジャキィィィィ!!!と無数の武器を転送してきてフル装備となる。 猛烈な威圧感と殺気に、全身の血が退いていくヴァイパー。恐怖に歪む顔。 ヴァイパー「（悲鳴）ヒイイイイィィィッ！」 ギロロ「（地の底から響くような声で）・・・挨拶が遅れたな・・・日向家へようこそ、ヴァイパー・・・そして『さような ら』だ・・・」 顔面蒼白で、口をパクパクさせて硬直した状態で動けないヴァイパー。 ギロロ「貴様は俺の嫁の写真を土足で踏み付けた・・・ペコポンから生きて帰れると思うなよ・・・（腹の底からの 怒声）ブチ撒けるぞヴァイパーァァァァッ!!!」 ヴァイパー「（大慌てで）待て！ 待ってくれ！ 話せば解る！ 話せば・・・」 ギロロ「問答無用ォッ!!!」 直後。 ギロロの装備するありとあらゆる武器が、全開放される。 ババババババドドドドドドガガガガガガッ！などと大音響を轟かし、すべての銃口が火を噴く。 凄まじい物量のレーザー弾、銃弾、ランチャー弾が雨霰とヴァイパーに降り注ぐ。 ヴァイパー「（絶叫）ウギャアアアアアアアアァァァァッッッ!!!!」 庭中に満ち溢れる、爆裂の光と音。 約20秒ほど続いたそれは、一気に沈黙へと転換する。朦々と立ち込める爆煙。 風に流されて四散していく煙の中から、庭に倒れているヴァイパーの姿。 全身真っ黒コゲで、頭はアフロヘアーになっている。ピクッ、ピクッ、と痙攣している身体。 目をグルグルの渦巻きにして、舌を、ダラン、と出して完全に気を失っている模様。 ふう、と息を継ぐギロロ。すべての武器を次元転送させて消す。 そして踵を返し、素早い動作でリビングに駆け上がる。 そこには、ヴァイパーに踏み潰された壁掛け時計を持って、床に座り込んで項垂れている夏美。 ゆっくりと近付くギロロ。ソファーの傍らに座る夏美の顔を覗き込む。 ポロ、と夏美の目から涙が落ちる。ハッ、と驚いたギロロ、間髪を入れずソファーに飛び乗る。 そして肘掛に立って、即座に夏美の肩を引き寄せ、首筋に右腕を回す。 少し驚いた表情の夏美、僅かの後にギロロの肩口に顔を伏せて埋める。 そのまま、声を出さずにしゃくり上げて泣き始める。 ギロロ「（彼女の耳に、囁くように）泣くな、夏美・・・もう大丈夫だ・・・」 彼女に回した腕に、グッ、と力を込めるギロロ。 泣き続けた状態で、何度も頷く夏美。 夏美「（声を湿らせ）ごめんなさい、急に泣いたりして・・・アンタの写真、踏み付けられたのが悔しくて・・・悔しく て・・・」 ギロロ「俺には謝るなと言っているだろう。それに、俺も悔しかった。お前の写真を土足で踏まれたことに、これ 以上ないくらい腹が立った・・・だが・・・もっと早くに駆け付けてヴァイパー相手に上手く立ち回れていれ ば、お前を泣かせることもなかったろう・・・（両目を閉じ）すまない、夏美。未熟さも不甲斐なさも克服出 来るようにする」 夏美「（やや落ち着いて、顔を上げ）アンタは何も悪くないじゃない・・・あんまり自分を責めないでよ・・・あたし は、これ以上ないくらいアンタから・・・いろんなものをいっぱいもらってるんだから・・・毎日毎日が嬉しくて 仕方ないんだから・・・」 ギロロ「（両眼を開けて）夏美・・・」 至近距離で見詰め合うふたり。暫く動かない。 やがて、ふたり同時に何かの気配を感じ、ハッ！とリビングの廊下側戸口を振り向く。 そこには並んでこちらを見たまま、黙って立っているガルルと秋の姿。 カアアッ・・・と呼応したタイミングで、全身真っ赤になって、バッ！と離れるギロロと夏美。 ゆっくりとした動作で、リビングに足を踏み入れるガルル。 ガルル「（歩を進めたまま）邪魔をするつもりはなかったのだがな」 ギロロ「（上擦った声で）だ、だ、黙って立っとらんで声でも掛けんかいッ！」 夏美「（上擦った声で）じゃ、邪魔だなんてコトないから！ お、お気遣いなくっ！」 ガルル、ふたりの横を通り過ぎて、庭に降りる。 眼前の黒焦げヴァイパーを、じっ、と見詰めて、暫く後ろ手で立った状態。 突然、左手首の通信ユニットを操作するガルル。キュルルルル・・・と何かが転移してくる。 バシュウッ！と、ヴァイパーの近くに灰色のニョロロΩが出現。 途端、無数の触手を伸ばしてヴァイパーを絡め取り、一気に体内に飲み込んでいく。 完全にヴァイパーの姿が見えなくなり、満足そうに、ゲフゥ・・・と息を吐くニョロロΩ。 即座に通信ユニットを操作し、ニョロロΩを転送させて消すガルル。 両手を改めて後ろ手に組み、ふうう、と溜め息をつく。 ガルル「（背を向けたまま）ギロロ、実は私がここに来た目的がもうひとつある」 思わず、ガルルの背中に視線を向けるギロロと夏美。 静かな足取りでふたりに近付いてくる秋。 ガルル「私はここに来る前、ある懸念を抱いていた。それはお前が―――『緊張感』を衰えさせていないか、と いうことだ」 何の言葉も発せず、ただガルルの背中に目線を固定しているギロロと夏美。 ソファーの側に立ち、軽く後ろ手に組んでガルルに眼差しを向ける秋。 ガルル「結婚という大きな頂に辿り着き、その場に安定した居城を築いたであろうお前は・・・もしかしたら安穏 とした気分になり、戦士たる者が当然保持するべき“警戒の感性”や“有事に於ける即応性”、それらを 包括する『緊張感』を一定以上のレベルで持ち続けているだろうか、という危惧を覚えたのが、私の正直 な気持ちだ。いや、勘違いしてほしくないのだが、結婚したことでそれらが後退したなどと考えた訳では ない。結婚とその生活に対する懸念はまったく存在しない。ふたりが如何様な経緯を経て、如何なる有 事を乗り越えて想いを紡ぎ合ったか、それを鑑みれば・・・感性や気持ちに良い意味で加える物はあっ ても、減らす物などない筈だからな。ただ私の勝手な老婆心が、微々たるささくれのような懸念を生んだ というだけの話だ。しかし・・・」 くるり、と踵を返して、身体をふたりの方向に向けるガルル。 ガルル「（静かな口調で）・・・それはまったくの杞憂に過ぎなかったと確信した」 黙って耳を傾けるふたり。 ガルル「ギロロよ、先ほどまでカラオケを続けていた室内で・・・あの大音量の中で、お前は突然顔色を変え、 夏美くんの名を呼びながら飛び出していった。私にもその直後、敵意を向ける何かがこの邸宅内に存在 する感覚が湧いてきた。私のは戦う者の持つ“勘”のようなものが告げたのだが・・・お前は私よりもずっ と早く、夏美くんに危険が迫っていることが解ったのだな。そして、実際にヴァイパーが襲撃しており、こ れを撃破。戦士として成すべきことを成した。夏美くんに関しては確固たる、且つ完全なるアンテナを張り 巡らせているから、このような行動が可能ということも理解出来たよ」 腕組みをするガルル。 ガルル「（優しい声で）見事だ、ギロロ。お前は夏美くんの『絶対の守護戦士』だと再認識したよ」 ギロロ「（目を少し見開いて）兄ちゃん・・・」 その直後、軽く顔を左右に振って、やや目を伏せるギロロ。 ギロロ「だが俺は・・・（申し訳なさ気に）夏美の悔し涙を止められなかった・・・顛末がどうあれ、結果としておの れの未熟さが招いたことが残った・・・情けない・・・」 秋「ギロちゃんはこれ以上ないくらい、夏美に対して行動してくれてるじゃない」 思わず、ソファー近くに立つ秋を見上げるギロロと夏美。 ふたりに柔らかな笑みを湛えた顔を向けて、軽く首を傾げる秋。 秋「それはガルちゃんも私も良く解っていることだし、誰より夏美が一番解っている筈。何から何まで漏れのな い、100％完全無欠な人なんていないわ。それでもギロちゃんは夏美に、100％を遥かに超える行動をして くれている。それも今に始まったことじゃない、ずっと前から、ね？ だからこそ私は・・・（満面の笑顔で）貴 方に夏美を託せると思って、結婚を認めたのよ」 ガルル「（大きく頷き）その通りだ、ギロロ。お前が自分を低く見るのは構わない。それだけ自分に厳しいという ことは、更なる上を目指す気概を持ち続けられる。だが夏美くんに於いては・・・それに上乗せした自信を 持て。誰より夏美くんを護れていると胸を張れ。それでこそ、お前は夏美くんの夫たり得るのだからな」 ギロロと夏美、改めてガルルに視線を向け、やや落ち着いた表情になる。 秋「ギロちゃんは夏美の旦那様で・・・（おどけたように）“ナイト”だもの、ね？」 ギロロ「（秋を振り向き、赤くなり）い！ いやその！ それはその・・・」 ガルル「“ナイト”？・・・『騎士』のことか。なるほど、その方がしっくり来ますな。ならば『絶対の守護騎士』と呼 称し直さねばなるまい」 ギロロ「（ガルルを見て）呼び直さんでいいッ！」 ガルル「夏美くん、ひとつ質問したいのだが」 急なフリに、僅かに驚いた顔になる夏美。 夏美「（きょとん、として）何かしら？」 ガルル「改めて尋ねる。君にとって・・・『ペコポン最終防衛ライン723』ではなく、日向夏美として・・・ギロロはど ういう存在かね？」 全員の視線が夏美に集まる。 すぐ傍らのギロロ、呼吸を抑えて夏美の横顔を見詰める。 夏美「（口許に笑みを浮かべ）ギロロは、あたしの“御守り”です。それはふたりで闘っている時もそうなんだケ ド、そばにいてくれるだけで底なしのチカラが湧いてくる・・・逆に離れていると、どうしようもなく苦しくな る・・・日常生活でも何でも、ギロロと一緒ならどんな壁だって山だって越えられるって思えるの。ギロロが いてくれるだけで、あたしは絶対に大丈夫だ、って信じられるの」 ガルル「“御守り”か・・・（頷いて）我が弟にしては、これ以上ない賛辞だな」 夏美「あと、もうひとつ」 ガルル「何かね？」 夏美「今日みたいにあたしがピンチになった時、ギロロは颯爽と現れて護ってくれる・・・前っからそうだったケ ド、一緒に闘っていない時、普段の時に危険が迫った場合、ギロロはどんな危険も顧みずに駆け付けてく れて、あたしの盾、あたしの武器になってくれる・・・そんなコトがいっぱいあって、いつの間にかそういう風 に思ってたんだケド・・・」 一度ギロロを見詰め、頬を紅色に染める夏美。 ギロロが見詰め返すのを待って、再度ガルルに目線を投げる。 夏美「ギロロは・・・（すごく嬉しそうな声で）あたしの“王子様”なんです！」 ギロロ「（驚愕の上に赤面して）な！ ななななな何でそれを今言うんだッ！」 夏美「（照れた笑顔でギロロを見詰め）だぁって・・・ホントのことじゃない・・・」 傍らで、ちょっと驚いた顔の秋。すぐに笑顔を浮かべる。 庭にいるガルル、腕組みのまま暫く茫然とふたりに視線を向けている。 ガルル「・・・“王子様”？ ギロロが“王子様”ということか？」 ハッキリと大きな動作で、コクン、と頷き返す夏美。 ガルル、真っ直ぐにふたりに目線を固定して動かない。 沈黙。 沈黙。 ガルル「（肩を上下させ）フッ・・・フフフ・・・（顔を上げて）ハッハッハッハッハ！ 何と素晴らしい！ 恐れ入 ったよ夏美くん！」 ギロロ、唖然とした顔でガルルを見て立ち尽くす。 隣の夏美は、小首を傾げて柔らかい笑顔でギロロに目を向け、それからガルルを見る。 ガルル「（口許に笑みを湛えたまま）や、失敬。決して嘲笑った訳ではない。考え得るレベルを遥かに超越した 言葉に、心底感嘆したのだ。まさか我が弟が、そこまで崇高な位として想われていようとは予想だにしな かったからな。もったいないほどの表現だ。ということは、夏美くんは“姫”か・・・“王子”は“姫”を救け、 護り、そして契りを結ぶ。天地開闢、古の昔から至極当然として展開されてきた歴史が、まさかこんな身 近で見られようとはな・・・こんなに愉快で、気を昂らせたのは久し振りだよ」 深く納得した様子で、幾度か首を上下に振るガルル。 それから一瞬の間を置いて、キッ、とした視線をギロロに投げる。 ガルル「ギロロよ・・・」 ギロロ「（ハッ、として）な、何だ？」 ガルル「（重みのある声で）これほどまでに深く、そして堅固に想われている事実に、感謝の念を忘れるな。お 前は、お前にとって宇宙で最も素晴らしい伴侶を娶った。だがそれに慢心せず、想われている以上に 夏美くんを想うとこだ。それでこそ、お前たち夫婦は愛情の面でも『無敵』となれよう」 ギロロ「（頬を染め、口籠もり）・・・き・・・貴様に言われるまでもない・・・」 改めて夏美に顔を向けるギロロ。 夏美、彼と眼差しを絡め、ニッコリ、と陽溜まりのような温かい笑顔になる。 フシュウ・・・と頭頂から湯気を噴き、白目のまま凝り固まるギロロ。 ふと、ガルルが庭の宙に浮かんでいる球体ビデオカメラに目を留める。 ガルル「これは何かね？」 夏美「（カメラを見て）あ、それ、ヴァイパーが持ってきたヤツよ。何でもあたしたちを倒して、それを撮影したのを 動画サイトに上げるつもりだったみたい」 ギロロ「（驚いて）何だと？ そんなふざけた真似をするつもりだったのか・・・もう少し痛め付けておくんだった」 夏美「まあ、あれだけ攻撃を喰らっておけば、流石に懲りるんじゃない？」 ガルル「そうか・・・では、これも回収しておこう」 手元に一丁の銃を転送して、即座に球体カメラを撃つガルル。 レーザー弾が正確に浮力ユニットに当たり、プスン、と音がしてから落下してくる。 それを地上で何気にキャッチして、撃ち終えた銃を転送して消すガルル。 ガルル「（リビング内に目を遣り）今からヴァイパーとこのビデオを、宇宙警察の派出所に引き渡してこようと思 う。また戻ってくるので、昼食の準備をしていてはくれまいか？ 夏美くんの手料理を食するのも久し振り だからな、楽しみにさせて頂きたい」 夏美「（笑顔で）ええ、作っておくわね」 秋「（笑顔で）気を付けてね、ガルちゃん」 ガルル「はい、行ってきます。（ギロロを見て）そうそう、お前も昼食の準備を手伝っておくのだ。『働かざる者、 食うべからず』だからな。肝に銘じておけよ、“王子様”？」 ギロロ「（怒声）貴様が王子と呼ぶなーッ!!!」 夏美【Ｎ】「いきなりのヴァイパー襲撃もあったケド、この後は４人で昼食をとりました。里芋の煮っ転がしも作っ たし、お義兄さんも満足してくれたようだったわ。そしてブランドグッズは、後日完成品を一通り送って くれることになって、待つ楽しみも増えました。ママは壁掛け時計を居間とリビングに飾りたいって言っ てたケド・・・実際に置いてみると、ちょっと恥ずかしいかもね。ギロロは『照れくさいから別の場所にし てくれ』って言ってるわ。ま、それはそん時に考えましょ？ そしてお義兄さんは昼食の後に、本星へ 帰っていきました」 ★ 日向家・夏美の部屋 夏美【Ｎ】「まあ、こんなカンジで毎日何かしらの騒動が尽きないんですよね。でもすっかり慣れちゃった感もあ るし、ギロロが傍にいてくれるから何が起こっても安心出来るのよ。最高に頼れる旦那様だもの！ えーと、それで・・・夜、なんだケド・・・特別な事情でもない限り、ギロロとあたしは同じ場所で、寝ま す・・・んと、基本はあたしの部屋で、たまーにギロロのテントで寝るコトもあるんです。まあそん時の 流れとか、気分とか・・・」 既に時計の針は夜の10時を示している。 部屋中央のテーブルに向かって座って、雑誌に目を通している夏美。 風呂上りでパジャマに着替え、髪はツインテールを解いた長い状態。 暫くすると、ドアが２度ノックされてから、ガチャリ、と開いてギロロが入室してくる。 彼の姿を目にして、柔らかい微笑みを浮かべる夏美。 ギロロ「（テーブルに歩み寄り）風呂の湯沸かし器はスウィッチを切っておいたぞ」 夏美「ありがと。ギロロはもう寝る？」 ギロロ「その前に、渡す物がある」 夏美の目の前に卓上に、スッ、と静かに何かを差し出すギロロ。 それを目の当たりにした夏美、少し驚いた表情で両の瞳を見張る。 『日向夏美』と表に印刷された預金通帳と、夏美名義のキャッシュカード。 卓を挟んだ反対側に、向かい合ってビーズクッションに座るギロロ。 夏美「（顔を上げて）これ・・・通帳？」 ギロロ「ああ、お前名義の口座通帳だ。秋に頼んで作ってもらった」 通帳を手に取り、開いて中に目を通す夏美。 既に何件かの取引が記載されており、すべて『キュウヨフリコミ』とされている。 ギロロ「今後は、俺の給料がこの口座に振り込まれることになった」 夏美「（驚いて）ええっ!? アンタの・・・軍からのお給料がっ!?」 ギロロ「そうだ。正確には、まず軍から支給される給料の総額から、税金や軍部が徴集して天引きされている のを差っ引いた残りの給料ということになる。それが元々あった俺の口座から宇宙銀行を経由して、ペコ ポンのお前名義の口座へと振り込み、というか、振替という形になるか」 茫然とした顔で、手にした通帳を見詰める夏美。 ギロロ「実は、ガルルがペコポンに来た目的のひとつが、この口座間の取引が確定した報告を直接する為だっ た。グッズの試作品を持ってくるのと同時に、取引明細を書面にしたためて持参している。昼間にカラオ ケに行った際、秋を交えてこの内容の確認をしたんだ。別段内密にしていた訳ではないが、すべてが確 定してからお前に報告しようと思っていた。そして今日、漸く通帳を渡すことが出来た、という次第だ」 夏美「（再度顔を上げ）でもこれって、誰が言い出したの？ アンタだって実家に仕送りしなきゃならないんで しょ？」 ギロロ「この件に関しての一切は、俺がガルルに依頼した」 短く息を飲み、真っ直ぐにギロロを見詰める夏美。 ギロロ「最初は実家への仕送り分も天引きするつもりだった。俺はそうしようと考えてたんだが、ガルルはそれ を断り『以降は仕送りの必要はない。必要分以外はすべて送金するようにする』と言っていた・・・結局こ れは、親父の意向もあってガルルの意見を組み込んで段取りしてもらったんだ。まず秋にペコポンでの 口座を開設してもらい、ケロン側の口座手続きはガルルと親父が取引を組み、そして―――仲介となる 宇宙銀行の取引交渉は、ケロロとクルルが尽力してくれた」 夏美「（目を見開いて）・・・そうなの？ ボケガエルはまだしも、クルルまで？」 ギロロ「（フッ、と笑い）正直、俺も意外だったよ。幾らかでも手数料を請求されはしまいか、と思ったが、どうやら 何もないらしい。ケロロから言われたからというのもありそうだが、特にオンラインを無理に操作したので なく、真っ当に手続きを進めてくれたみたいだ。奴のことだから今後何があるか判らんが、今は素直にあ りがたく感じている」 両目を閉じて数回頷くギロロ。 そしてすぐに目を開けて、夏美と視線を合わせる。 ギロロ「夏美、今は秋がこの家の当主で、お前はその娘。現状に於いて家計の遣り繰りを秋が担当している が、いずれはお前が中心となる日が来よう。お前の夫である俺の給料が、この家の為に使われるのは 至極当然のことだ。だから、使い道や使い方は一切お前に任せる。俺が必要とした場合はその都度申し 出ることにしたから、その際はよろしく頼む」 夏美「それは当たり前のコトだけど・・・ねぇギロロ、やっぱりコレって、まず先に話してほしかったわ。確かにま だ学生だし、ハッキリと考えていなかったケドさ・・・買い物とかはあたしもしてるし、家計の遣り繰りはこれ から覚えようと思ってたのよ。（通帳を閉じて卓上に置き）だからここまで一気に事が進んじゃって・・・ちょ っとビックリしちゃったって言うか・・・」 ギロロ「（神妙な声で）すまん、それに関しては本当に申し訳なかった。すべては、俺の我儘から進んだ話な んだ」 夏美「（小首を傾げて）我儘？」 ギロロ「（言いづらそうに）その・・・だから、だな・・・詰まるところ・・・」 頬を鮮やかな紅色に染め上げ、腕組みをして両目を固く閉じるギロロ。 ギロロ「（上擦った声で）お、お、俺はッ！ 一日も早くお前を養っているという実感が欲しいんだッ！ 夫としてお前を食わせているという感覚を味わいたいんだッ！」 ギロロ、言い切って、カアッ・・・と全身茹で上がったように真っ赤になる。 夏美は彼から目を外せず、両目を丸くして完全に動きを止める。 暫くの間。 急に、且つ呼応したかの如く顔を上気させて湯気を立たせる夏美。 そして熱を発したままのギロロを見詰めた状態で、再び動けなくなる。 また幾許かの時間、何も言わずに向かい合うふたり。 夏美「（頬の赤みを残したまま）・・・もう・・・ホント、アンタらし過ぎよ・・・」 直後。 夏美、目の前のテーブルを持ち上げ、ゆっくりと自分の横に移動させて離して置く。 何事かと目を開けて彼女を見るギロロに、可愛らしい笑顔を向ける。 夏美「ギロロ、もっとクッションの後ろの方に座れない？」 ギロロ「（少し訝し気に、移動し）・・・こうか？」 ビーズクッションの後ろ半分に腰を据え、両脚を伸ばした姿勢で座り直すギロロ。 突然。 ガバッ！と勢い良く覆い被さるように、ギロロの両膝から大腿部に頭を乗せる夏美。 そのまま身体を横たえ、彼の脚を枕にして仰向けに寝そべる。 ギロロ「（激しく赤面して動揺）のわあぁぁぁッ！ ななななな夏美ィッ！ 何をッ！」 夏美「（満面の笑顔）ふふっ、一回やってみたかったんだ。ギロロの膝枕っ！」 これ以上ないほどの嬉しさを表現した笑みで、目を細めてギロロを見上げる夏美。 あまりに急な展開に口をパクパクさせて、凍て付いたように凝固するギロロ。 すっ、と夏美の右手がギロロの頬に触れ、愛おしむように緩やかな動きで撫でる。 その動作に我に返り、真剣な揺るぎない瞳で彼女を見詰めるギロロ。 固く強い結び付きで、絡み合う眼差し。 夏美「（穏やかな声で）すっごく嬉しいよ、ギロロ・・・あたしも早く、アンタに食べさせてもらってるって実感、 欲しいな・・・」 ギロロ「夏美・・・」 自然と顔を寄せていくギロロ。夏美の唇に自分のを重ねる。 一瞬目を閉じてそれを受け入れる夏美。 数秒そのままで、それからゆっくりと離れる互いの唇。 夏美「ねぇギロロ、昼間にお義兄さんが言ってたコトなんだけど・・・あたしたち、愛情でも『無敵の夫婦』になり たいなぁ。アンタはどう思う？ なれるかな？」 ギロロ「（フッ、と笑みを湛え）なれるか、ではない。絶対なってやる、だ」 夏美「（笑顔で）さっすが、あたしの旦那は言うわね・・・じゃあ、絶対なろうね」 ギロロ「（笑顔を返し）ああ」 夏美「それと・・・（恥ずかし気に）次は赤ちゃんねっ！」 ギロロ「（ボフン、と瞬間で上気し）んなッ!!!」 全身灼熱化するギロロ。 そして夏美は、両腕をギロロの背に回し、自分に被せるように引き寄せる。 重なるふたりの影。 【Ｎ】「・・・あれ？・・・あのー、夏美ちゃん？・・・（咳払いをして）えー、夏美ちゃんがナレーションを強制終了しち ゃったようですので、また私が担当しますってもう終わりですかッ!? えー、まあそんな訳で・・・いきなり お鉢を回されても纏められないじゃん・・・ともかく！ ギロロ伍長と日向夏美ちゃんのふたりが『宇宙でもっとも ラヴラヴな夫婦』の二つ名を得られる日も、そう遠くないと思いますよ。それでは皆さん！ また次回お逢い しましょう！ ではでは！・・・あー、何とか纏まったよ・・・」 ★ 宇宙空間・ガルルの宇宙艇 倉庫のような薄暗い室内。 鉄格子で組まれた２ｍ角の正方形の檻に、ニョロロΩの触手に拘束されたヴァイパー。 気絶していたが、気が付いたらしくゆっくりと両眼を開く。 格子越しの正面に、後ろ手で立ってこちらを睨むガルル。 ガルル「（重い声色で）・・・お目覚めかね、ヴァイパー」 ヴァイパー「（辺りを見回し）な・・・何だここは？ オレは一体・・・」 ガルル「ここは私の宇宙艇の中、既にケロン星への亜空間ドライブの最中だ」 ヴァイパー「（ガルルを見て、顔色を変え）ゲッ！ テメェは“ゲロモンの悪夢”！」 ガルル「ほお、私をご存知か。それはいいとして・・・貴様に面白い物を観せてやろうと思ってな、気が付くのを 待ってたのだ」 ヴァイパー「（怪訝そうに）面白ぇ物？」 ガルル、モバイルＰＣを取り出して、カパ、と開いて画面をヴァイパーに向ける。 眉を寄せて画面に注視するヴァイパー。突然、声にならない呻きを上げて仰け反る。 そこには、動画投稿サイトのブラウザ画面。 ヴァイパー自身がギロロにフル装備で攻撃されて、黒焦げになって気絶する場面。 再生画面のすぐ横のコメント欄には、ヴァイパーを嘲る無数の書き込みが並ぶ。 全身から冷や汗をダラダラ流し、顔面蒼白で目を剥くヴァイパー。 ヴァイパー「（声を震わせ）こ・・・こりゃあどういうこった！」 ガルル「何を言っている。貴様が自分で撮影したものだろう？ 何でも動画サイトに上げるつもりだったようだか ら、私が代わりに上げておいたのだ。感謝してほしいものだな」 ヴァイパー「（哀願の表情で）たッ！ 頼むッ！ 後生だから削除してくれ！ こんなみっともない映像を延々と 観られた日には、オレたち一族末代までの恥だッ！」 ガルル「・・・まあいいだろう。元よりこのような映像は上げるつもりはなかった」 パタン、とＰＣを閉じるガルル。 気の抜けたような表情で、ふうう・・・と溜め息を吐いて脱力するヴァイパー。 ガルル「ただし・・・それも私のターンが終わってからだ」 ヴァイパー「（顔を上げ、訝し気に）ターン？」 ガルル「（重低音を含んだ声で）貴様は・・・私の弟夫婦を襲撃した・・・」 途端。 ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・と凄まじく空気を震わせ、紫色のオーラを立ち昇らせるガルル。 両眼が鋭く切れ、眉間に皺を寄せ、右目に怒りに赤く燃える瞳が浮かび上がる。 口をあんぐりと全開にして、恐怖のあまり両目を飛び出させるヴァイパー。 ヴァイパー「ヒィッ!!!」 ガルル「宇宙警察に引き渡しても良かったのだが、それでは私の怒りは治まらないのでな・・・何しろ、まだ私 の番は始まってもいないのでね・・・残念だが、これからケロン星へ着くまでの間は、ずっと私のターン だ・・・さあ行くぞ、ヴァイパー・・・（激怒を漲らせ）蛇のような悲鳴を上げろ！」 ヴァイパー「（悲鳴）ヒェェェッ！ 勘弁してくれェェェェェェッッ!!!」 顔面崩壊で絶叫するヴァイパー。 亜空間内を猛スピードで突き進んでいく宇宙艇。やがて遥か彼方の点になって見えなくなる。 ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ [ 次回予告 ] （BGM：ケロッと！マーチ） クルル「クルル曹長だ」 モア「アンゴル＝モアでっす！」 クルル「何だぁ？ 本編ロクに出番ナシで予告だけかよ・・・」 モア「何言ってるんですか、ちゃんと『奥さんやらしいやろぉ』って言ってたじゃないですか。モアなんか全然出番 なかったんですよ。贅沢言っちゃイケません」 クルル「・・・そこだけ抽出されてもなぁ」 モア「ねぇクルルさん、“奥さんの何がやらしい”んですかぁ？」 クルル「だからそこだけ抽出すんなって言ってんだろッ！」 モア「（キラキラした目で迫り）ねぇ、何がやらしいんですかぁ？」 クルル「（冷や汗を流して）・・・そんな無垢な目で俺を見んな・・・」 ケロロ「そんなことより！ 次回は再び宇宙空間へ舞台が移るッ！ 新たなる敵の登場と新キャラも現れての血 沸き肉踊る大活劇って訳だあッ！ 果たしてギロロと夏美殿の夫婦は、ラヴラヴパワーで乗り切れるであ りましょうか！ 次回！ 『宇宙中の誰よりきっと』！ 全３本っつーことで、どっすか？ ゲッゲーロォ」 クルル「隊長、あと頼むわ（ピュー、と走り去る）」 ケロロ「え？ え？ ちょっとクルルってば！」 モア「おじさまでもいいです、教えて下さい。奥さんの何がやらしいんですかぁ？」 ケロロ「ちょっとクルルーッ！ 逃げないで教えてから行くでありますよーッ！」 |
