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【Ｎ】「はい皆さん！ 性懲りもないとはまさにこのこと！ 長くならなかったネタを纏めてお送りします『夏ギロ30
分』がまた帰ってきました！ 今回は４本立て！ え？ 間にネタ集でないパクリシリーズが２本入ったろ ーって？ 細かいコトは気にしない！ テキトーに生温かい目で見てやっておくんなまし。では、行ってみ やうッ！」 ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ ★ 「ギロロ＆夏美 アイドルはつらいよ」であります！ ミーティングルームに集まっているケロロ小隊一同。 ホワイトボードを背に、憮然とした顔をして後ろ手で立つケロロ。 各隊員は自分の席に座り、ケロロを注視している。 ギロロ「（苦い表情で）大概にしろ、ケロロ。歌手デビュー作戦は既に決行しただろう。バリエーションがなさ過 ぎにも程があるぞ」 ケロロ「（口を尖らせて）・・・あのさ、ちょっと聞いてくれる？」 ギロロ「（眉をひそめ）・・・言ってみろ」 ケロロ「前回のアイドルユニット作戦の後なんだけどさ・・・」 ハアアアア・・・と恐ろしく長い溜め息を吐いた後、顔を上げるケロロ。 ケロロ「我輩、クイズ番組から派生した某男性３人のアイドルユニットとよく似た企画やったじゃん。んで思い切 りコケたよね？ まあ確かに“二番煎じ”はよくなかったワケよ。そんなにホイホイと受け入れられるほ ど、ペコポン人は間抜けじゃなかったんでさ、そこんとこはしゃーないのは判る。流石に我輩でも、反省 のひとつもするよ。でもさ・・・（キッ、と目線を鋭く）我輩らの後に、マジクリソツなユニットがデビューして、 しかもソコソコ売れちゃってんじゃん！ 何でもバラエティ番組の企画とやらで、最初のユニットのパクリ でやろーっちゅーコンセプトで曲作ってCD化して！ しかもしかも！ 何でそれが我輩の企画より当たる わけ!? アッチよか我輩の方が絶対面白いじゃん！ （怒りで震え、拳を握り）なーにが『○○感』だよ！ ジャケットで土下座して売り込んで、そんなんでみんなCD買っちゃうワケ？ 情けないくらい踊らされる ペコポン人たちに絶望したよ！ そんなんが当たるんだったら我輩なんかTKも真っ青の売れっ子プロデ ューサーだよ！ ３日で豪邸建てられるよ！ 今年の宇宙ヲリコン歌謡祭年間最多売り上げ賞と最優秀 企画賞と最優秀プロデュース賞総ナメだよ！ 我輩の名前CDに入れれば某パニック映画の隕石群のよ ーにドッカンドッカン売れて売れて売れまくっちゃうよ！ ペコポンの音楽業界間違ってるよ！ 何で我 輩の企画がスルーされんのよッ！（ドゲシッ！とテーブルを蹴り上げ）うがー！ がっぺムカつ くッッッ!!!」 突如、ピタ、とケロロの動きが停止する。 彼の背後には、いつの間にかクルルが立っており、ニヤ、と笑う。 【スローモーション】 くるり、と両眼が白く反転し、前のめりに倒れるケロロ。 ズウン・・・と鈍い音を立てて、うつ伏せになって動かなくなる。 彼の後頭部には、１本の注射器が刺さっている。 【スローモーション終了】 更に意味深で厭味な笑い顔で、シャキン、と両手にいっぱいの注射器を出すクルル。 それを、プス、プス、プス、と楽しそうに鼻歌混じりでケロロに刺しまくる。 その様子を茫然として見詰める、他の小隊員たち。 ギロロ「（茫然と）・・・ケロロの奴、鬱積溜まり過ぎだったんだな」 クルル「ここで“あの頃”に戻られてもヤヴァイんで、ちっとオネンネしてもらっとくぜぇ」 タママ「しっかし軍曹さん、１年半以上も前の出来事でこんなにウラミツラミ溜めといたんですねぇ。もっとドライ に対応しないと身がもたないですよぉ」 ギロロ「（タママを見て）貴様が言うと説得力に欠ける」 ドロロ「（溜め息をつき）隊長殿のお気持ちは理解出来なくもないが・・・やはり“柳の下のドジョウ”ではなく、 しっかりとした楽曲を独自で制作しないといけないのではござらぬか？」 クルル「ゼロから作るのは構わねぇが、オレの作る曲がギロロ先輩に唄えるかなぁ」 ギロロ「（思わず立ち上がり）待て待て！ まさか今回の作戦も・・・」 クルル「おおっと、今回オレとドロロ先輩は唄わねぇ。ギロロ先輩と日向夏美のペアだぜぇ～。く～っくっくっく っくっく」 途端、口を開いたまま停止するギロロ。 それから白目になり、何度も口をパクパクさせて何かを言おうとするが、言葉が出ない。 タママ「あれ伍長さん？ 反対しないんですかぁ？（ニヤ、と笑う）」 ドロロ「（頷いて）タママ殿、それを聞くのは野暮というものでござるよ」 クルル「言っとくけど先輩、オレは軍歌や演歌は基本作らねぇぜぇ。狙いとしちゃあ、14人組でパフォーマンス かましてるグループの曲辺りのイメージってとこだねぇ。あるいはそーだな、海賊モノのアニメ主題歌やっ てた５人組イケメン連中のカンジでもイケるんぢゃね？」 ギロロ「（奥歯を噛んで）・・・や、やはり俺は降り・・・」 急に、シュイン、とミーティングルームの自動扉が開く。 スタスタ、と軽やかな足取りで入室してくる夏美。 一斉に目線を向ける一同。ギクッ、と肩を跳ねさせて動きを止めるギロロ。 夏美「（短く息を継ぎ）まーだココにいたのギロロ？ 焼き芋ご馳走してくれる約束だったじゃない。もうおなかペ コペコよ・・・（床を見て、驚愕）ってうわああ!!! な、何でボケガエルが注射器だらけでココに転がってんの よ！」 クルル「ま、気にすんな。いつものことだ」 夏美「（ギロロを見て）どうしたの？ 顔が赤いわよ」 ギロロ「（焦って）い、いや、な、何でもない・・・作戦会議が終わり次第上がるから、すまんがもう暫く待ってて くれ」 クルル「丁度いいや、日向夏美。また先輩とCD出してみねぇか？」 ギロロ「（大慌て）おいおいおいッ！ 前振りもナシかッ！」 夏美「ギロロと？ （頷いて）いいわよ。ただし侵略作戦なら、作戦だけ潰させてもらうケドね」 ドロロ「ご心配なく、夏美殿。侵略なら拙者も阻止する故、安心してギロロ殿と唄われるとよろしい」 ギロロ「（眉を寄せて）ちょっと待てドロロ、何で貴様そんなに積極的なんだッ？」 ドロロ「前作の『銀河の恋の物語』、初回特典付き音盤を購入し、小雪殿と聴き込んでいるのでござる。ひとり の聴衆として、新作も期待するのは道理でござろう？（目を細める）」 ギロロ「（ジト汗）な・・・何もそんなに純粋に期待せんでも・・・」 クルル「んじゃあ、決まりだな。早速企画を説明するぜぇ。（リモコンを取り出し）ぽちっとぉ！」 直後、プロジェクターからスクリーンに、ギロロと夏美の画像が投影される。 どうやら合成画像らしく、ふたりとも“キグルミ”姿。 【ここで読者の皆様、可能な限りアレな着ぐるみを想像して下さいませ】 理解を絶するあまりの姿に、茫然自失となるギロロと夏美。 ギロロ「（ワナワナと震え）・・・な・・・何じゃこりゃあッ！」 夏美「（目が点になって）・・・ホ・・・ホントにコレやるのぉ!?」 ドロロ「（腕組みをして）これはこれで奇をてらって面白そうでござるな」 ギロロ「（怒声）だったら貴様がやってみろッ！」 ドロロ「いや、やはり夏美殿と組むのはギロロ殿しかおられぬ。丁重にお断り申す」 タママ「（ジト汗で）流石にコレはヤヴァイですよぉ。ボクもちょっとイタくてやりたく・・・」 ドロロ「（首を振って）タママ殿、言わぬが華、でござるよ」 ギロロ「（激怒）本音はそれか貴様らッ!!!」 夏美「ギロロと組めるのはいいんだケド・・・この衣装はちょっと・・・」 クルル「そんなこともあろうかと！ （ニッ、と笑い）もうCGでPV作ってオンエアしちゃってるぜぇ」 ギロロ・夏美「「何ですとーっ!!!」」 【Ｎ】「そして誕生しました新生アイドルユニット『ぎろなっち』、鮮烈デビューです！」 ♪ ぎろなっち ぎろなっち ぎろなーっちぎろなっち ぎろなっち ぎろなっち ぎろなーっちぎろなっち ちーちーちー ちちちちちちー あっちもこっちもそーっちもぎろなーっち あっちもこっちもそーっちもぎーろなーっちー 基地内の撮影スタジオ。 照明が煌びやかに展開され、アチコチに設置されているカメラが稼動している。 企画通りの被り物で踊るギロロと夏美。もの凄くトホホな表情で踊り続ける。 一角のディレクターズチェアに脚を組んで座り、腕組みをしているクルル。 傍らでクリップボードを持ってふたりを見ている、アシスタントのモア。 クルル「（カメラ目線で）おや？ これもパクリだって声が聞こえるねぇ。（人差し指を立てて振り）チッチッチ、パ クリじゃねぇよ。“二次創作”って言ってくれよなぁ。く～っくっくっくっくっく・・・」 【Ｎ】「んで、クルル曹長プロデュースのこのユニット、目新しさもウケて宇宙ヲリコンチャート初登場第１位を獲 得。しかも月間売り上げ№１をも記録し、ヲリコン史に残るメガヒットと相成りました。しかし残念ながら、 ギロロ伍長と夏美ちゃんの激しい抵抗もあり、このアイドルユニットはこの１曲で終了となったのです。もっ たいないですねー」 ドロロ「（笑顔で）それでは次は、是非また歌謡曲で頼むでござる」 ギロロ・夏美「「（怒声）次はなーい!!!」」 ★ 「夏美VSギロロ 夫婦喧嘩はアンドロメディアン・ハスキーも食わない」であります！ 地下司令室、メインパネル下付近で向き合って立つギロロと夏美。 ふたりとも眉を寄せ、たたごとではなさそうな厳しい表情。 それを少し離れたところで、苦々し気に眺めているケロロ。 夏美「・・・どうしても譲らない気？」 ギロロ「（ギロ、と睨み）譲らん。夏美が何と言おうと譲らん」 夏美「（眉をひそめ）・・・あたしがこれだけ言っても？」 ギロロ「返事は同じだ。何度も言わせるな」 夏美「（キッ、と睨み）ホンっっっっっトにアンタって呆れちゃうくらい頑固ね！」 そこへ、シュイン、と自動扉が開いてモアが入室してくる。 ふと、ギロロと夏美の様子に気付いて、トコトコと歩み寄る。 モア「どうなさったんですか、ふたりとも？ てゆうかぁ、夫婦喧嘩？」 ギロロ・夏美「「（バッ、とモアを向き）まだ夫婦じゃなーい!!!」」 白目を剥いて険しい目線を飛ばすギロロと夏美。 ケロロ「（ジト目、呆れて小声で）“まだ”ってこたぁ、夫婦になる気満々じゃんあんたら・・・」 大袈裟なほどの動作で肩をすくめ、大量の溜め息を吐くケロロ。 ケロロの隣に立って、再び向き合うギロロと夏美に視線を投げるモア。 夏美「大体ねぇ・・・（張りのある声で）普段あたしにあんだけ優しくしてくれてんのに、何で自分のコトになると 頑として融通が利かなくなるの!?」 ギロロ「（ギク、として）い、いや、それはだな・・・」 夏美「（ずい、と近寄り）いざって時にあたしを護ってくれる颯爽としたカッコ良さもね、自分の身体大事にしない んだったら半減しちゃうじゃないのよ！」 ギロロ「（たじろいで）じ、自己管理など、戦士として当然出来て・・・」 夏美「（大声で）ほーら二言目には戦士！ あたしにとってのアンタは、戦士である以前に何だと思ってんの？ それこそ何度も言わせる気？」 ギロロ「そ、それは解ってるつもりではあるが・・・」 夏美「嘘、ギロロ解ってない。第一、自己管理出来てないから、さっきから言ってんじゃない？ あたしに対する 気遣いの半分でも自分の身体心配しなきゃ、そのウチ身体壊すわよ。ま、そうなったら無理矢理にでも、 あたしの部屋で24時間付きっ切りで看させてもらうケドね」 ギロロ「（慌てて）待て待て！ いくら何でもそれでは俺の立場が・・・」 夏美「（ビシッ、とした声で）立場はこの際置いときなさい！ 普段はあたしが甘えてんだから、そういう時は あたしに甘えなさい！」 ギロロ「あま・・・（赤面して）そ、そんなこと出来る訳なかろう。俺なら放っておかれても大丈夫だ」 夏美「そんなに渋い低音の魅力たっぷりの声で言われても、納得出来ないわね」 ギロロ「・・・声質と内容は関連がないだろう」 途端、チョンチョン、とモアの脚を人差し指で突っつくケロロ。 振り向くモアに、無言でドアの外を親指で示す。 コクン、と頷いたモアと一緒に、静かに自動扉を出て行く。 それにまったく気が付かず、未だに激しい遣り取りをしているギロロと夏美。 シュウン、と扉が閉まり、その横の壁に身体を預けるケロロとモア。 モア「（ケロロに向き）ギロロさんと夏美さん、珍しく喧嘩ですか？」 ケロロ「（嘆息をつき）そーなのよモア殿。何も司令室で喧嘩しなくても・・・上でやってほしいでありますよ、まっ たく」 モア「止めなくていいんですか、おじさま」 ケロロ「（右手を左右に振り）いーのいーの放っときゃ。お互いフル装備で戦闘おっ始めて、司令室ブッ壊しそー になったら止めりゃいいのよ」 モア「そもそも、原因って何なんです？」 ケロロ「（溜め息をつき）それがさぁ・・・」 突然、シュイン、と司令室扉が開く。思わず見るケロロとモア。 中から、ぐったりしたギロロを脇に抱えた夏美が現れる。 ふたりに気付く夏美。少し驚いた顔で視線を返すモア。 夏美「（笑顔で）お騒がせしたわね。もう終わったから気にしないで」 モア「（茫然と）・・・あ、はい。お疲れ様でした」 そして、ぎっちりとギロロを身体に密着させたまま、くるり、と踵を返す夏美。 それからスタスタと、軽やかな足取りで廊下を歩いて去っていく。 ケロロ「あーあギロロの奴、すっかり尻に敷かれてやんの」 モア「ああいうの、“かかあ天下”って言うんですよね。てゆうかぁ、上州名物？」 ケロロ「（ジト目で）よく知ってるでありますな、モア殿・・・（表情を戻し）それにしても、言った通りでありましょ う？ いちいち止めるまでもないんでありますよ、あのふたりの場合は」 ふたりを後ろ姿を眺め、ふうう、と呆れたように溜め息をつくケロロ。 ケロロ「夫婦喧嘩はアンドロメディアン・ハスキーも食わない、とは良く言ったモノであります・・・」 【Ｎ】「古人曰く、ってヤツですね。珍しく喧嘩していたギロロ伍長と夏美ちゃんでしたが、ふたりの遣り取りをどう 聞いても、夏美ちゃんのノロケにしか聞こえません。本当にありがとうございました」 ★ 「ギロロ＆夏美 サバイバル愛妻弁当」であります！ 日向家、リビングのサッシ外に立つギロロ。 キッチンから、銀色の金属製の弁当箱を抱えて歩み寄り、それを彼に渡す夏美。 ギロロ「行ってくる。夕方までには帰還する予定だ」 夏美「（笑顔で）無理はしないでよ」 夏美から受け取った弁当箱をリュックに仕舞い、庭に停めたソーサーに乗るギロロ。 一瞬夏美を振り向き、それから上空を見上げてソーサーを浮上させる。 キュウウウウン・・・とエンジン音を残して上昇していく。 夏美「（右手を上げて振って）行ってらっしゃーい！」 リビングのサッシから身体を半分出し、見送る夏美。 ギロロが飛び去った後に振り向くと、リビングの長椅子付近に冬樹の姿を確認。 ぎくり、と声も上げずに驚いて、冬樹に視線を投げる夏美。 冬樹「（ニコニコと）まるで新婚みたいだね」 夏美「（頬を染め、口を尖らせ）からかわないでよ」 冬樹「ところで伍長、何処行ったの？ 相変わらずのサバイバル訓練？」 夏美「そっ。一日軍事訓練なんだって。ひとりでどんな訓練やるんだか知らないケド」 冬樹「だったら姉ちゃんも行けばよかったのに。訓練の相手くらい出来るんじゃない？」 夏美「（呆れて）あのね、あたしは軍人でも戦士でもないの。そりゃあ何かあった時に、ギロロと一緒に戦った コトもあったケドさ・・・」 冬樹「そう言えば一日って、お昼は現地調達なの？ 伍長ならそうしそうだけど」 夏美「それがねぇ、今日はあたしにお弁当作ってほしい、ってんで・・・お弁当箱持ってきたのよ」 冬樹「（少し驚いて）へぇ！ 伍長ってお弁当箱持ってたんだ？」 夏美「（頷いて）あたしも意外だったんだケドね。折角だから腕によりを掛けたわ（満面の笑み）」 突然、リビングの床が、キュイン、と開いて、下から椅子がせり上がってくる。 そこには脚を組んで、周りを窺うように見回すクルルが座る。 クルル「よぉ、ギロロ先輩は訓練に出たかぁ」 夏美「ええ、今さっき出掛けたわよ」 クルル「（ニヤ、と笑い）クルルズ＝ラボ特製の弁当箱、持ってってくれたよなぁ？」 途端、一瞬訝し気な顔になる夏美。きょとん、とした表情の冬樹。 暫くそのままで、停止。 永い間を空け、何かに気付いて、バッ、とクルルを振り向く夏美と冬樹。 夏美・冬樹「「クルルが作ったぁ!?」」 クルル「おおっと、先に言っとくがよ、今回は先輩からの依頼だぜぇ。『目茶目茶手強い』のをご希望だったんで な、リクエストにお応えしてやったってワケ。結果が楽しみだねぇ。く～っくっくっくっく・・・」 【Ｎ】「そしてその日のお昼頃、ギロロ伍長はどうしてたかと言うと・・・」 鬱蒼とした森林が広がる山中。 人も通わぬその奥深くから、キュン！ バシュッ！と時折響く銃声と着弾音。 森の樹々の間を凄まじいスピードで跳び回るギロロ。 その後方から、これも猛スピードで彼を追う、バッタのようなフォルムの銀色の戦闘マシン。 その身体の中心には、弁当箱のような形状の箱がある。全身の大きさはギロロより一回り小さい。 マシンが口らしき部分から、バシュウッ！とレーザーを発射。 間一髪、木を盾にして身を潜めるギロロ。カシュッ、と自分の銃を構えようとする。 しかし既に戦闘マシンの姿はなく、ヒュン、ヒュン、と飛び跳ねながら間を詰めてくる。 更にその腹部付近が開き、チェーンソーが飛び出し、ギュイイイイン・・・と回転を開始。 それを確認して、ゴクリ、と唾を飲み込むギロロ。 ギロロ「（息が上がり）流石は一筋縄ではいかんか・・・次から次へと・・・」 ギロロ、木の陰から様子を窺う。 地面に低く伏せ、今にも飛び掛かってきそうな戦闘マシン。 ギロロ「（フッ、と笑い）だが夏美の弁当を口にするには・・・何が何でも勝たねば！」 直後、ダッ、と地面を蹴って、木を周り込んでマシンの側方から飛び出すギロロ。 戦闘マシンが動くより早く、銃の引き鉄を引く。 【Ｎ】「で、昼の11時から闘い始めたギロロ伍長が夏美ちゃんのお弁当を食べることが出来たのは、夜も更けた 午後９時だったんですねー。帰ってから、心配した夏美ちゃんにこっぴどく叱られましたが・・・お弁当は至 上の美味さだったと、伍長は語ってたそうです。いろいろとご馳走様です、おふたりさん」 ★ 「夏美＆ギロロ 大喜利」であります！ ♪ ちゃっちゃらちゃららら ちゃっちゃ パフ ちゃっちゃらちゃららら ちゃっちゃ パフ 満席の客席、拍手が湧く。 舞台左の机には、桃紅色の着物姿の夏美が座る。 向かって左側から、ギロロ、タママ、ケロロ、クルル、ドロロが、重ねられた座布団の上に正座。 座布団の枚数は、ギロロ１枚、タママ５枚、ケロロ８枚、クルル７枚、ドロロ３枚。 各人が、自分の肌の色と同じ色の着物をきている。 夏美「さーて、じゃあ３問目いってみましょ。（反対側袖に向かって）冬樹ー、例のモノ配ってー」 冬樹「（左裾奥から）はーい」 ５枚のフリップを持った、深緑色の着物を着た冬樹が登場。 ギロロから順にフリップを渡して、再び舞台袖に引っ込む。 夏美「世間では、ギロロとあたしの間を表現するのに『ギロ夏』って言うわよね。で、見ての通り、今配ったフリッ プには【ぎ】【ろ】【な】【つ】の４つの文字が書いてあるんで、都々逸風の作文を作ってもらおうって問題 よ。座布団10枚かかってるからね、みんな頑張ってちょうだい・・・おっと、タママ早いわね。（挙手したタマ マを扇子で指し）じゃあどーぞ」 タママ「ボクはお菓子好きなんで、スイーツをテーマに作ってみましたー」 【ぎ】ギャルに嬉しい 【ろ】ローカロリーでも 【な】なかなか止まらず 【つ】ツライですぅ 夏美「へえー、なかなか上手いじゃない？ あたしも解るわー、こんな感覚。冬樹ー、タママに座布団１枚あげ てー・・・（挙手したケロロを扇子で指し）はい、ボケガエル」 ケロロ「（ニヤ、と笑い）我輩、今度は自信作でありますよ」 【ぎ】議員のセンセイ 【ろ】論じる政策 【な】なれど本音は 【つ】つまりカネ 夏美「（頷いて）風刺ネタね。ガンプラ記事しか読んでないと思ったケド、ちゃんと社会面読んでたのが感心する わ。冬樹ー、座布団１枚持ってきてー」 ケロロ「（ガッツポーズで）やっふー！ ９枚目ゲットでリーチであります！」 冬樹「（座布団を重ね）頑張ってね、軍曹。いつものネタやらなきゃ大丈夫だよ」 ケロロ「ゲーロゲロゲロ！ 応援感謝であります冬樹殿！（高笑い）」 夏美「（挙手したクルルを扇子で指し）次は、クルルね」 クルル「オレのネタはよぉ、きっと気に入ってもらえるぜぇ」 【ぎ】ギリギリヴォイスは 【ろ】浪漫の香り 【な】中田譲治は 【つ】罪なヒト 夏美「（パシ！と扇子を机に置き）上手いっ！ やるわねークルル。あのシビレる低音ヴォイスがタマラナイの よ。冬樹ー、座布団２枚持ってきてー」 クルル「ま、ざっとこんなもんかねぇ。く～っくっくっくっく・・・」 ケロロ「（ジト汗）ゲゲッ、クルルも９枚でありますか。これはヤヴァイっしょ～・・・」 夏美「はい、次は・・・（挙手したドロロを扇子で指し）じゃあ、ドロロ」 ドロロ「拙者は、以前行った京都の場景を詠んでみたでござる」 【ぎ】祇園、鴨川 【ろ】路傍の鳥の 【な】啼く声侘しい 【つ】月の夜 夏美「（感心して）うわぁ、すっごく綺麗。日本人より日本人らしいドロロだから作れる文よね。冬樹ー、ドロロに 座布団１枚あげてー」 ケロロ「（隣のクルルに）それにしてもギロロの奴、今日は１問も回答出来てないでありますな。未だに座布団 １枚のまんま」 クルル「こういうユーモアとかお笑いとか、先輩が最も苦手な分野だからなぁ」 ケロロ「（ニヤリ、と笑い）ま、相手にならんでありますな。ゲロゲロリ」 目を閉じて腕を組み、時折頭を振って苦悶の表情を見せるギロロ。 途端、ハッ、とした表情で顔を上げ、目を見開く。 そしてゆっくりと、おずおずとした仕草で右手を挙げる。 挙手したギロロを、素早く扇子で指す夏美。 夏美「（明るい声色で）はい！ ギロロどうぞ！」 ギロロ「（言いづらそうに）・・・お、俺は・・・今の心境で作ってみた・・・」 【ぎ】技術に乏しく 【ろ】ロマンもないが 【な】夏美よ俺に 【つ】追いて来い！ 声を張り上げて、全身真っ赤になって言い切ったギロロ。 完全に動きを停止する夏美。思わずギロロを注視する他の小隊メンバー。 沈黙。 沈黙。 沈黙。 夏美「（すっごく嬉しそうに）冬樹ー！ ギロロに座布団10枚！」 ケロロ・クルル「「何じゃそりゃァァァッッッ!!!!!」」 夏美「（満面の笑みで）見事座布団10枚も出たところで、大喜利この辺でお開きとさせて頂きます！」 ケロロ「（大慌て）ちょちょちょちょっと待ったーッ！ 無理矢理過ぎでありまーす！」 夏美「（右手を振って）では、また来週！」 ケロロ「（半泣きで）何なのまた来週ってーッ!!!」 客席からの大きな拍手。 頭を下げて挨拶する、ケロロ以外の全メンバー。駄々っ子のように転げ回るケロロ。 ♪ ちゃっちゃらちゃららら ちゃっちゃ パフ ちゃっちゃらちゃららら ちゃっちゃ パフ ちゃっちゃー ちゃちゃっちゃらららら ちゃららららっらっらー ちゃちゃらちゃららら ちゃちゃらちゃららら ちゃっちゃー トントン ちゃらら パフ ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ 【Ｎ】「つー訳で、アレなネタも織り交ぜつつお送りしました『夏ギロ30分』、生温かく読んで頂けましたでしょー か？ もし細かいネタがまた溜まりましたら、いつかまた・・・」 ガルル「待ち給え。私にもひとつ、発言させてほしいのだが」 【Ｎ】「あれ？ ガルル中尉の出番は今回・・・」 ガルル「（コホン、と咳払いして）私が見たところのギロロの心境を詠った文を、ご披露しよう」 【ぎ】銀河を超えた 【ろ】ロマンス実り 【な】何と見事な 【つ】連れ合いよ 【Ｎ】「おお、なかなか良い出来ではないですか。とてもハイブロウな隠し芸で、客席を恐・・・いやいや、興奮の 坩堝に陥れる方とは思えませんねぇ」 ガルル「（フッ、と微笑み）褒めて頂き、感謝する。この一文を夏美くんとギロロに送信してくれ給え。ああそれ と、座布団をもらえるならケロン星着払いで結構、とも伝えてほしい。では、さらばだ（堂々と立ち去る）」 【Ｎ】「・・・多分、座布団は来ないと思いますよ、ガルル中尉」 |
