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★「大魔法峠」OAVでは、斎藤千和さんと中田譲治さんが“ふたり一役”というドリーミーなキャスティングで出 演されてます。興味のある方は是非ご覧下さいませ。要するに今回の話は、それがきっかけで書き始めたモ ノです。「大魔法峠」ネタを夏ギロチックにアレンジして、いつもの脚本風読み物に仕上げました。 ★かなーりエグい表現の連発ですが、ネタですんで失笑してスルーして下さい。 ★文中は敬称略です。以上、自己弁護終了。では、アレな中身をドゾー。 |
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OP主題歌「大日向峠」
作詞：水島 努 変作詞：桁石スミオ 作曲：高木隆次 唄：日向夏美（斎藤千和） ♪ ビームサーベルくるるるる 奥東京からやってきた ビームライフルくるるるる 日向夏美お見知り置きを 雷撃掃討 殲滅 天下布武 優しい言葉もいい笑顔も信じちゃダメ ペコポン最終防衛ライン 極楽浄土に連れてってあげる ペコポン最終防衛ライン 生き残る術はただひとつ 肉体言語 ペコポン最終防衛ライン 越えてみせるわ大日向峠 ペコポン最終防衛ライン 覇王の道はただひとつ 肉体言語 ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ ★ 第一話 地下基地トレーニングルームで対峙する、夏美とケロロ、クルル、タママ。 怒りの形相でケロロを睨む夏美。意に介さず飄々としているケロロ。 夏美「（低い声で）・・・掃除当番サボった挙句に呼び出すとは、いい度胸してんじゃない？」 ケロロ「（フッ、と笑って）態度が悪いでありますなぁ、夏美殿。これを見るであります！」 クルル「王子様の登場だぜぇ。（リモコンを出して）ぽちっとぉ！」 リモコンのボタンを軽やかに押すクルル。 ケロロが指差した側方の床が開き、下から迫り出す鉄の柱。 そこには頑丈にベルトで縛り付けられ、グッタリとしたギロロの姿。 夏美「（目を見開いて）ギロロ！」 ケロロ「ゲーロゲロゲロ！ 最近ギロロ伍長は夏美殿とコソコソと何かやってたようでありますからなぁ、我輩は これを“内通”と判断し、然るべき制裁を加えたのでありますよ。我らが怨敵である夏美殿を、これ以上 パワーアップさせられてはイカンっつーことで」 タママ「このままじゃボクら、ますます勝てなくなっちゃいますからねー」 夏美「（ケロロを睨み）・・・ギロロを離しなさい・・・さもないと・・・」 ケロロ「おーっと！ 夏美殿の相手は我輩でなく、この方でありますよ・・・（両手で掬い上げるような動作を して）アラザザ人のお兄さん、カモーン！」 ケロロの前方の床が開いて迫り上がり、床下から別の異星人。 顔はアザラシ、身体はビキニパンツ一丁の筋骨隆々なマッチョボディ。 それがボディビルダーの筋肉誇示のポーズで、怪し気な笑みで夏美を見ている。 夏美「（呆れたように）誰かと思ったら、公然猥褻罪で手配中の変態宇宙人じゃない？ 見せ掛けの筋肉じゃ、 あたしの攻撃は防げないわよ？」 ケロロ「・・・さて、それはどうでありましょうかねぇ？」 鉄柱に括り付けられているギロロ、ゆっくりと目を開ける。 途端、眼前に夏美の姿を発見し、驚愕の表情を浮かべる。 それに気付き、笑顔になる夏美。 ギロロ「（目を見開いて）夏美ィッ！」 夏美「（ギロロを見て）気が付いたっ？ 今救けるからね！」 ギロロ「来るなッ！ これは罠だッ！」 夏美「大丈夫！ あたしに任せて！ （アラザザ人を睨み）どきなさい、変態マッチョ。痛い目に遭いたくなかった ら・・・ねっ！」 空かさず距離を詰め、右脚を振り抜く夏美。アラザザ人の横っ腹に蹴りを見舞おうとする。 防御もせずに立っているアラザザ人。ボゴッ！と、夏美の右足が打撃を加える。 直後。 一瞬顔を顰め、バッ、とすぐさま離れる夏美。 対して、何事もなかったかのように平然と腕組みをして立つアラザザ人。 夏美「（驚いて）効かないっ!?」 クルル「無駄だぜぇ。そのアラザザ人にはな、宇宙プロティン飲ませてシールドコーティングを施してある。例え ハンマーでブン殴っても、傷ひとつ付けらんねぇ。諦めな。く〜っくっくっく・・・」 ケロロ「（ニヤリ、と笑って）だから言ったでありましょう？ ゲロゲロリ」 血の気が引き、蒼褪めた表情で立ち竦む夏美。 勝利を確信した笑みを浮かべるケロロ、タママ。 ケロロ「（バッ、と右手を振り抜き）襲えぇぇッ!!!」 両腕を振り上げて、ニヤァ、と厭らしい笑いを浮かべるアラザザ人。 ダッ、と床を蹴って夏美に襲い掛かっていく。 茫然としている夏美。顔を伏せて、弱々しい呟きを漏らす。 夏美「そんな・・・あたしの打撃が効かないなんて・・・」 奇声を上げて跳び掛かるアラザザ人。 ガッツポーズでそれを見遣るケロロとタママ。ビデオカメラを回しているクルル。 夏美「ならば・・・」 突然。 夏美が、バッ、と顔を上げて、ギンッ！と切れそうなほどの鋭利な視線を向ける。 夏美「（重低音を効かせた声で）ならば・・・肉体言語にて語るまでっ！」 跳び掛かってくるアラザザ人の左腕を取り、目にも止まらぬ速さで後方に回り込む夏美。 そのまま思い切り腕と肩を捩じ上げ、両腕で固めて体重を掛ける。 夏美「ナツミ脇固めっ！」グギッ アラザザ人「ふぐもおぉぉぉぉぉッ!!?・・・」ガクッ 瞬時に泡を噴いて、白目を剥いて気絶して倒れるアラザザ人。 タママ「（驚いて）ウソッ！ 落ちたですぅ！ だったらボクの攻撃で・・・」 ジャンプして蹴りを見舞おうとするタママ。 フッ、と残像を残してそれを躱し、タママの背中に回り込んで両腕で首を極（き）める夏美。 夏美「ナツミチョークスリーパーっ！」グキュ タママ「（顔面蒼白）うぐもぉッ！・・・ヂョ・・・ヂョーグゥ・・・うげ・・・」ガクッ 目を見開いたまま気を失い、ピクッ、ピクッ、と痙攣しているタママ。 夏美、無表情のままアラザザ人の上に、ドサ、と彼を落とす。 見る見る凍り付いていくケロロの表情。 ケロロ「ななななッ・・・（悲鳴混じりで）何じゃその地味で痛そうな技はァッ!!!」 夏美「（ケロロを見据え）打撃系など・・・打撃系など花拳繍腿！ 関節技・・・サブミッション こそ王者の技よ！」 【Ｎ】「説明しよう！ 花拳繍腿（かけんしゅうたい）とは、華やかだが見せ掛けだけの技のことを言います。皆さ んも是非日頃の会話で使ってみましょう！」 ケロロ「（蒼褪めて震えて）ままままましゃか・・・ギロロがコレを？」 夏美「・・・知る必要はないわ・・・」 直後。 抜き足差し足忍び足で、そーっ、と視界から外れた部屋の隅を歩くクルルを補足する夏美。 ギンッ！と睨み付け、ゴゴゴゴゴゴ・・・と真っ赤なオーラを立ち上げる。 ビクゥッ、と全身を強張らせて立ち竦むクルル。 夏美「（地の底から響くような声で）・・・何処に行くつもり？」 クルル「あ・・・えーと・・・ちょっと御トイレ・・・」 途端、クルルを掴まえて放り上げ、落ちてくる彼を肩で水平に空中で受け止める夏美。 そのまま着地と同時に、両腕でクルルの身体を海老反りに極める。 夏美「ナツミアルゼンチンバックブリーカーっ！」ズゴスッ クルル「（絶叫）それでもカメラを離しませんでしとゥあァッ!!!」グデン アラザザ人、タママの転がっている上にクルルの身体を放る夏美。 その後、彼の手からビデオカメラが転がり落ちる。 夏美「・・・それ、ロバート＝キャパじゃない」 【Ｎ】「・・・夏美ちゃん、よく知ってますね」 くるうり、と振り向き、爛々と真っ赤に染まった目でケロロを睨む夏美。 ギクギクッ！と跳ね上がり、へたり、と座り込むケロロ。 夏美、ゆっくりとした動作で一歩、また一歩と彼に近付いていく。 夏美「（ドスを効かせた声で）・・・さあ、お仕置きの時間よ？」 ケロロ「（泣きまくって）イヤァ！ 痛いのダメェェェェッ!!!」 意に介さず、ケロロの右足を取って持ち上げ、一瞬で足首を極める。 夏美「これは、ギロロの痛みの分・・・ナツミアキレス腱固めっ!!!」グギュッ ケロロ「ふげあああぁぁぁッ！」 夏美「これは、ギロロの苦しみの分・・・ナツミスピニングトーホールドっ！」ゴギゴギゴギッ そのまま脚を持って、足首を中心に身体を数回回転させる夏美。 ケロロ「うげえぇぇぇぇぇぇッ！」 続いてケロロの身体を、ブン、と振って宙に放り上げ、自分も跳び上がる夏美。 首と左脚を極めたまま、背中越しに海老反りに固めて着地する。 夏美「これは、ギロロの悲しみの分・・・ナツミメキシカンバックブリーカーっ！」ズドゴギッ ケロロ「うぐぎゃあッ！・・・って・・・さっきからギロロの分ばっか・・・」 そして、ケロロをうつ伏せに落とし左足を持ち上げ、背を向けて腰を落とし右脇で極める夏美。 夏美「そしてこれは・・・このあたしの怒りよっ！ ナツミスコーピオンデスロックっ!!!」ゴギン ケロロ「（声にならない絶叫）くぁwせdrftgyふじこぉぉぉぉぉッ!!!!!!」 【Ｎ】「そして・・・すべては終わって、ギロロ伍長は夏美ちゃんの手によって救出されました。後にはケロロ軍曹 たちが気絶したまま山となって積み上げられたんですねぇ」 全身ボロボロで全員が白目を晒したまま、累々と積まれているケロロたち。 一番下からアラザザ人、タママ、クルル、ケロロの順。 それを後ろ手に組んで満足気に見詰める夏美。隣で茫然としているギロロ。 夏美「あーあ、殺っちゃった・・・」 ギロロ「（ジト汗）辛うじて生きてるとは思うが・・・」 ふと、近くにクルルの使っていたビデオカメラが落ちているのを発見する夏美。 夏美「（笑顔で）えいっ！」 ブグシャッ！と、右足で思い切り踏み付けてカメラを破壊する夏美。 ジト汗でそれを見詰めるギロロ。 ギロロ「（ふう、と息をついて）特訓したのはいいが、まさかここまでサブミッションをマスターするとはな・・・末恐 ろしいな、夏美」 夏美「いやぁ、そんな褒めなくても（照れた表情）」 ギロロ「・・・褒めたのは半分だけだが・・・」 夏美「運動したら、お腹空いちゃった。ねぇギロロ、今からお芋、焼いてくれる？」 ギロロ「（頬を染めて）ま、まあ、どうしてもと言うのなら仕方ない」 夏美「（ニコッ、と笑顔で）じゃ、お願いね」 【Ｎ】「ギロロ伍長の特訓のお陰で、実はサブミッションの王者になっちゃったことが暴露された夏美ちゃん、果 たして何処まで強くなってしまうんでありましょーか。第二話へ続く！」 ★ 第二話 【Ｎ】「ここは、日向家リビング。夏美ちゃんとギロロ伍長がお茶してるトコに、珍しくモアちゃんがご相伴に与って るようです。和気藹々と楽しそうにしてますねぇ」 ティーポットから、トプトプ、と紅茶を白磁製カップに注ぐ夏美。 それをモアの前のテープルに置き、ギロロのマグにはインスタントのコーヒーをブラックで作る。 モア「そう言えば、夏美さんとギロロさんの“馴れ初め”って聞いたコトなかったと思うんですが・・・」 夏美「そうだっけ？ 何かアチコチで喋ってるから、話したかどうか忘れちゃったわ」 モア「折角ですから聞かせてくれませんか？ てゆうかぁ、興味津々？」 夏美「（ギロロを見て）いいかな？ ギロロ」 ギロロ「ああ、別に構わん」 コト、とマグをギロロの前に置いて、懐かしむような眼差しを宙に向ける夏美。 夏美「思い出すなぁ、ギロロに逢いに行った時のこと！」 ギロロ「（あっけに取られ）は？・・・逢いに行った？」 【回想シーン】-------------------------------------------------------------------- どんよりと雲って薄暗い空の下に広がる、何処かの集落。 まるで戦後の闇市バラックを無造作に建てたような街。そこを一陣の風が過ぎる。 街の入口と思しき塚には、無数の髑髏が山となって盛ってあり、風に不気味に鳴る。 髑髏の山に木製の十字架が刺さり、そこに“わくわくケロン村”と書かれた看板が打ち付けてある。 その看板の近くに立つ、漆黒のローブを纏った地球人らしき人物。フードで顔を隠している。 ザッ、ザッ、と歩みを進めるローブの人物が、街の中心に向かっている。 チンピラ紛いのケロン人が多く、中には引き上げ兵のような風体のケロン人も。 道路の脇には屋台や賭博場が並ぶ。チンチロリンのような音も聞こえる。混じって届くひねた笑い。 人物は黙って歩き、一軒の呑み屋の前に立つ。中から下品な爆笑が漏れている。 そして、入口の観音開きの扉を、ギイ、と開いて入っていく。 いくつか並ぶ丸テーブルは、ほぼ満席。ただしカウンター席には誰もいない。 カウンター内の中年の風貌のケロン人が、こちらを見て動きを止める。 入口近くのテーブルには、３人のケロン兵。チンピラそのものの顔付きや態度。 ケロン兵Ａ「で、その女がよぉ！」 ケロン兵Ｂ「ギャハハハ！」 突然。 それまで馬鹿笑いをしていたケロン兵たちが、一斉に扉の方を見る。 ケロン兵Ａ「（ドアを見て）ん？・・・何だテメェ・・・？」 ケロン兵Ｃ「もしかしてペコポン人か？ おい、しかもオンナだぜ！」 珍し気に声を上げ、舐めるような厭らしい目線を投げるケロン兵たち。 ローブの女性「（低い声で）夫となるケロン人を探しに来た」 暫しの間の後、店全体が一斉に爆笑に包まれる。 腹を抱えたり、テーブルを叩いたりして笑い続けるケロン兵たち。 ケロン兵Ｂ「（大爆笑）お、夫だってよ！ あひゃひゃひゃ！ バカなペコポン人もいたもんだぜ！」 ケロン兵Ｃ「（大爆笑）こ、ここにはおめーの手に負える奴はいねーよ！」 ケロン兵Ａ「（嘲る調子で）南の“るんるんケロン村”と間違えてねーか？ ここには俺たちみてぇな奴しかい ねぇよ、ゲヘヘヘ」 直後。 バッ、とローブを剥ぎ取って放り投げ、目にも止まらぬ速さでひとりのケロン兵を捕えるその女性。 そこには、氷のような冷たい表情の、制服姿の夏美が立っている。 夏美、据えた視線をその兵士に落とし、右肩口を鷲掴みにしたまま吊り上げる。 ケロン兵Ａ「（悲鳴）いッ！ 痛ェェェェッ!!!」 夏美「勘違いしないで。アンタら下衆に用はないわ」 ケロン兵Ａ「放せッ！ 肩外れるってんだよ！ 放さねぇとどんな目に遭うか・・・うッ!!!」ゴギン 嫌な鈍い音が店内に響き、ケロン兵Ａが口から泡を噴き始める。 握力だけで肩を脱臼させた夏美。衝撃のあまり立ち竦む他のケロン兵たち。 夏美が手を離し、ドサ、と床に落下するケロン兵Ａ。 夏美「外したわよ。さあ、どんな目に遭わせてくれるの？」 ケロン兵Ｂ＆Ｃ「（怒声）こ・・・このアマァ!!!」 ギロロ「やめろ」 入口から聞こえた、低音のよく通る声。 瞬時に向けられる目線の場所には、顔に大きな傷があり、真紅の肌をした吊り目のケロン軍戦士。 ギロロ「・・・貴様らの敵う相手ではない」 ケロン兵Ｂ「兄貴！」 ケロン兵Ｃ「ギロロの兄貴ィ！」 途端に、勝ち誇ったように歓声を上げる他のケロン兵たち。 夏美、ギロロを、じっ、と見詰める。視線を返すギロロ。 夏美「・・・アンタがギロロね。その名声、地球にも届いてるわ」 ケロン兵Ｃ「（ギロロに駆け寄り）兄貴ィ！ ピルルの腕が！」 ギロロ「どけ」 ゆっくりと歩き、肩を脱臼させられて苦悶しているケロン兵Ａに近付くギロロ。 屈んで僅かの時間確認した後、おもむろにケロン兵Ａの肩を掴み、一気に力を入れる。 ボグッ、と鈍い音がして、元通りになるケロン兵Ａの肩。ギロロ、静かに立ち上がる。 それからカウンターに向かうギロロ。彼から視線を外さない夏美。 ストゥールに腰を下ろし、カウンターに片肘を掛けるギロロ。 ギロロ「オヤジ、いつもの奴だ」 マスター「へ・・・ヘイッ」 ギロロ「（夏美に背を向けたまま）ペコポンからの女ソルジャー、だな・・・ここは楽しく飲んで騒ぐところだ。そん なギラついた目をしてると、この村では早死にする」 何も言葉を返さないまま、身動ぎもせずにギロロを見詰める夏美。 表情は変化なく、感情は読み取れない。 ギロロ「・・・なるほど、口で言って解るくらいならここには来ない、か・・・」 マスターから出されたグラスには、並々と『縄文水』がロックで注がれている。 それを、グイッ、と一気に飲み干し、カーン！と勢いよくカウンターに置くギロロ。 グラスの中の氷が勢いで飛び出し、ツーッ、とカウンターを滑る。 ギロロ「（振り向きつつ、夏美を睨み）・・・表へ出ろ」 暫くの後。 呑み屋の前の広場に集まっている、多くのケロン兵たち。その数50名ほど。 輪になって取り囲むその中心に、対峙するギロロと夏美。 ヒュウウウウウ・・・と冷気をふんだんに含んだ風が、広場を駆け抜ける。 夏美「（鋭い視線で）あたしの夫になりなさい、ギロロ！ 後の幸福は思うがままよ」 ギロロ「（唇の端を上げ）どうも家庭に入るのは性に合わなくてな。まあ、四の五の言っても始まらんな・・・夫に したくば俺を倒せ。それが掟だ」 夏美「（バッ、と構え）望むところっ！」 シュッ、と瞬時にギロロの正面に跳び込み、あっという間に左脚を取って持ち上げる夏美。 逆さになった彼の膝を、ガシッ、と流れるように両腕で極める。 夏美「ナツミ膝十字固めっ！」ガキッ 直後。 カッ！と目を見開いたギロロが、反動を付けて身体を関節の曲がりと反対に起きる。 ボキン！ グギッ！とあり得ない方向に曲がるギロロの膝関節。 あまりの出来事に、ハッ！として動きを止める夏美。 途端、隙を逃さず彼女の腕から抜け出し、グキン！と関節を戻すギロロ。 更に間髪を入れず、地上に降りると同時に、ジャキン！と両手にマシンガンを転送してくる。 驚いた表情のまま、バッ！と両腕で顔を覆い、身体を屈める夏美。 ドガガガガガッ!!!と容赦なく発砲するギロロ。襲い掛かるレーザー弾。 夏美の周囲から、ババババババババッッ!!!・・・と立ち昇る爆煙。 暫くして。 発砲が終わり、シーン・・・と静まり返った広場。 爆煙と砂煙が朦々として辺りに立ち込めている。見ていたケロン兵、誰ひとりとして声を出していない。 ギロロ、２丁のマシンガンを転送して消す。 ギロロ「悪いが、俺は特異体質でな。（腕の関節を回し）身体中の関節が360°動く・・・（足、首の関節を回し） つまり、サブミッションは効かんのだ。残念だったな、ペコポンの女ソルジャー」 視界が戻り、広場にうつ伏せに突っ伏している夏美の姿が現れる。 それを確認した後、くるり、と踵を返すギロロ。 ギロロ「誰かペコポンに連絡してやれ。暫くは動くことすら出来ないだろうからな」 夏美「（息が上がって）・・・勝手にオシマイにしないでほしいわ・・・」 ピク、と動きを止めるギロロ。 ゆらり、と立ち上がり、ゴホゴホッ、と数回咳き込む夏美。 肩で息をしており、掠れた呼吸を繰り返している。ただ、両眼には力強い光が宿っている。 ギロロ「（振り向いて）ほお・・・あの弾幕を防ぎ切ったとは・・・」 夏美「（ふらつきながら）・・・ますます気に入ったわ！ あたしの夫に相応しい！」 ギロロ「・・・死ぬぞ、貴様」 夏美「（微かな笑みを浮かべ）ふっ・・・日向家の人間にとっては、死も敗北も・・・同じことっ！」 直後、ヒュン、と空を鳴らして夏美がギロロの背後に回り込む。 瞬時に彼の頭に腕を回して持ち上げ、両腕で極める。 夏美「ナツミヘッドロックっ！」ガッ 極めた両腕に力を込める夏美。 平然として目を閉じているギロロ。 ギロロ「（溜め息をつき）やれやれ、どんな技で来るかと思えばヘッドロックか・・・何とも平凡な技で失望した」 夏美「ヘッドロックが平凡ですって？ おめでたい人ね」 ギロロ「何？ （ピキッ！と頭蓋から音がして）グッ・・・グギャアアアアッ!!!」 途端、ギロロの頭に激痛が走る。あまりの痛みにもがき、ジタバタ、と手足をバタつかせる。 ざわっ、と総毛立つ周りのケロン兵たち。 ケロン兵Ｂ「（驚愕）バ・・・バカな!? 兄貴が苦しんでる!?」 ケロン兵Ｃ「（驚愕）ありえねぇ！ 頭突きで岩を砕ける石頭なのに！」 夏美「少しは勉強しておくことね。頭蓋骨にも継ぎ目・・・つまり“関節”があるのよ。ヘッドロックとはその“関 節”を使って脳を直接攻撃する、恐るべきサブミッションなのよ！」 ギロロ《（苦悶の表情で）グ・・・まるで頭の中を鷲掴みにされてるようだッ！》 夏美「サブミッションは王者の技・・・極められない関節など、ないっ!!!」グゴギャッ 渾身の力でギロロの頭部を捩じ上げる夏美。 ピキン、と何かが切れたように白目になり、悶絶して気を失い掛けるギロロ。 だらん、と両手両腕が垂れる。夏美の両腕から力が抜け、ドサッ、と地面に落ちるギロロ。 沈黙。 沈黙。 周囲のケロン兵誰もが底知れぬ恐怖を覚え、蒼褪めて後退りしている。 ケロン兵Ｂ「（恐慌）う・・・うわあああ！ 兄貴がやられたッ！」 ケロン兵Ｃ「（恐慌）俺たちが敵うワケがねぇ！ 逃げろォォォォッ!!!」 蜘蛛の子を散らすように、一目散に広場から逃走していくケロン兵たち。 暫くして、そこには夏美とギロロだけが残される。 ギロロ「（のた打ち回り）グ・・・あうッ・・・」 夏美「さあ、約束よ。あたしの夫になりなさい」 ギロロ「（掠れた声で）・・・後悔、するぞ・・・寝る時、飯を食う時・・・貴様に心休まる時は二度と来ない・・・（身 体を起こし、大声で）必ず倒してやるッ!!!」 殺気を纏って彼女を、ギン！と睨み付けるギロロ。 僅かの間。 夏美「（目を閉じ、口許を上げ）ふっ・・・ふふふふ・・・（可笑しそうに、高らかに）あーっはっはっはっ はっはっは!!!!!」 ギロロ「な・・・何が可笑しいッ!?」 夏美「（澄んだ瞳でギロロを見詰め）夫からのミサイルの一発二発も御せずして、妻と言えるかしら？」 そして夏美、柔らかく可愛らしい微笑みを浮かべる。 茫然とそれを見るギロロ。目を逸らせずに、じっ、と彼女を見詰めている。 ギロロ「（目を閉じ、少し笑って）フッ・・・変わった女だな・・・婚姻届を出せ」 夏美、懐から１枚の紙を取り出し広げて、屈んでギロロの眼前に置く。 用紙の一番上には『婚姻届』と記載。妻の項目欄には、既に夏美の名が書かれている。 ギロロ、自分の右手親指を、ブチッ、と噛み切り、ツー、と血を出させる。 そして用紙の夫項目の捺印欄に拇印を押す。 それから立ち上がるふたり。夕陽を背景に向かい合って見詰め合う。 ギロロ「（真剣な表情で）この命の炎、燃え尽きる時までお前と共にあることを誓おう・・・」 夏美、凛とした表情で口許で微笑み、コクリ、と一度大きく頷く。 夕陽に長く伸びるふたりの影。 【回想シーン終了】-------------------------------------------------------------------- 夏美「それ以来、仲良しなのよねーっ（満面の笑み）」 モア「（目を潤ませ）凄いです！ モア、大感動です！ そんな凄いロマンスがあったなんて！ てゆうかぁ、 感孚風動？」 両目から感涙を流しながら、キラキラと星を飛ばしているモア。 あまりの展開に、ダーッ、と口からコーヒーを垂れ流してしまうギロロ。 ギロロ「（茫然として）・・・すまん、何処からツッコんでいいやら・・・」 夏美「あら？ 何処かツッコミどころあったかしら？」 ギロロ「（大声で）あり過ぎてツッコめんわいッ!!!」 【Ｎ】「そしてこの後日、感動のラヴストーリーをアチコチで喋り捲ったモアちゃんのお陰で、実際の事情を知って るケロロ軍曹たちからも余計な冷やかしやツッコミを散々受けるコトになったギロロ伍長でした。ま、ラヴ ラヴならばいいんじゃないでしょーかね？」 ★ 第三話 【Ｎ】「・・・その事件は、吉祥学園中等部の体育倉庫から始まったのでした」 体育倉庫のドアを、ピシ、と閉めるギロロ。 中にはケロロとタママが後ろ手に組んで立っており、ニヤニヤ、と含みのある笑いを浮かべている。 ギロロ「・・・用件を聞こうか」 ケロロ「（笑顔で）だからー、夏美殿に協力したよーにー、我輩たちにもチカラ貸してほしいなー、ってコトなんで ありますが」 タママ「（笑顔で）ねー伍長さーん、ボクらももっと強くなりたいんですよー。このままじゃ負けっ放しですぅ」 ギロロ「（ふう、と溜め息を吐いて）・・・やれやれ、またその話か・・・（踵を返し）次はもう少し面白い話を用意し ておいてくれ。俺は帰る」 意に介さずといった様子で、ふたりに背を向けてドアに向かうギロロ。 ケロロ「（慌てて）ま！ 待つでありますよ！ 我輩たちを言うことを聞いといた方が・・・」 ギロロ「（立ち止まって）ケロロ、タママ、言っておくが・・・夏美はまだあれで貴様らに甘いところがある。だが ・・・（振り返って睨み）俺は甘くはないぞ」 ギロ・・・と刺すような鋭い目線を投げるギロロ。 少しの間を置いて、ふうう、とやたら永い溜め息を吐くケロロ。 ケロロ「・・・幼馴染みだからと警告をしたのでありますが・・・残念であります」 タママ「（ニヤ、と笑い）仕方ないですねぇ、次の行動に移りますか？」 ケロロとタママ、顔を見合わせて、コクン、と大きく頷き合う。 そしてそれまで後ろにしていた手を前に持ってきて、ギロロに見せ付けるように晒す。 途端、ハッ、と驚きで固まるギロロ。 ケロロの右手人差し指、タママの左手人差し指には指輪がはまっている。 ハート型を半分に欠いた宝石がそれぞれに装着され、ふたつを組み合わせられるような形状。 ギロロ「（ワナワナと震え）そ・・・その指輪は！ まさか！」 直後。 体育倉庫の外にまで響き渡るギロロの悲鳴。 【Ｎ】「丁度その頃、授業を終えた夏美ちゃんが、軍曹を捜しにきたというモアちゃんとバッタリ出くわし、一緒に 歩いていたのでした」 和やかに談笑しながら、並んで歩くふたり。 校舎の間から校門への通路を進んでいて、校門前の広場に差し掛かる。 モア「夏美さん、あんまりおじさまたちにお仕置きしないで下さいね。てゆうかぁ、戦争反対？」 夏美「（微笑んで）アイツらがあたしを怒らせなきゃいいのよ。今度またギロロに何かしたら、そん時は泣いて 謝ったって許さないから」 突然、グラウンドの方向から人力車のような車が近付いてくる。 ギイ・・・ギイ・・・と軋む車輪の上、椅子の上にムチを持って踏ん反り返るケロロとタママ。 その人力車を、全身ボロボロのギロロが息も絶え絶えに引いて進んでいる。 蒼褪める夏美。驚愕のモア。 モア「（驚いて）ギロロさんっ！」 ケロロ「（ムチを叩き付け）いやー、もう少し早く走れないモンでありますかねー」 タママ「（ムチを叩き付け）ハイヨーシルバー！ですぅ」 大慌てで駆け寄る夏美。 とうとう力尽き、ふら、とよろめくギロロ。地面に落ちる前に間一髪、ハシ、と抱き留める夏美。 ギロロ「（ゼエゼエ言いながら）・・・夏美・・・気を付けろ・・・こいつらの・・・手には・・・」 言葉が掠れるように小さくなり、夏美の腕の中で、ガクッ、と項垂れるギロロ。 夏美「（大声で）ギロロ―――っ!!!」 涙混じりの夏美の声が、辺りに轟き渡る。 人力車の座席から、軽やかに、スタン、と飛び降りるケロロとタママ。 僅かの後。 全身から真っ赤な怒りのオーラを天高く燃え上がらせ、ゆらあり、と立ち上がる夏美。 顔の上部には陰が降り、両眼が透過光の真紅の輝きを放つ。 ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・と地鳴りが周囲を覆い尽くしていく。 夏美「（地の底から響く声で）ボケガエル・・・タママ・・・（振り向き）今度という今度は制御利かないわよ？」 ケロロ「（鼻で笑い）こっちはとっくに制御利いてないでありますよ。今まで夏美殿に受けた辱めの数々・・・」 タママ「（黒い笑みを浮かべ）その恨み晴らさで・・・」 ケロロ・タママ「「オクベキカ！」」 バッ、と指輪を装着した手を突き出すケロロとタママ。 それを見た瞬間、顔色を変えるモア。 モア「（驚愕）そ、それは！ アンゴル族に伝わるＡ級マジックアイテム・・・『リング・オブ・ハルマゲドン』!!!」 ケロロ・タママ「「出でよ！ 最強の断罪王!!!」」 そう言い放ち、指輪の欠けたハートを組み合わせるケロロとタママ。 カシャッ！と音がして、綺麗なハート型になる指輪の宝石。 途端。 宝石に突然、クワッ、と眼球が現れて思い切り見開かれる。 続いて、ケロロとタママの後方の地面が、ボォォォォンッ!!!と大爆発を起こす。 凄まじく高く立ち昇る爆炎、渦を巻いて溢れる黒煙。 中心に雷撃が走り、ズズズズズズ・・・と重低音を伴って、巨体の男が姿を現す。 ゆっくりと身体を起こす男、身の丈数十メートルを越す筋骨隆々の体躯。 爆発音に目を覚まし、少し気を保ってきたギロロ。巨体を見て目を見開く。 ゴア「（もの凄い重低音で）・・・我が名はアンゴル＝ゴア・・・アンゴル族の大王なり・・・」 モア「（茫然と）お父様・・・（笑顔で）相変わらずお元気そうで何よりです」 ゴア「（モアに気付き）おお、モアではないか。今日は召喚されたんでちっと一仕事してくからな」 ギロロ「（息を荒げたまま）いかん・・・いくら何でもアンゴル族相手では勝てない・・・ケロロの奴め、なりふり構 わぬ策に出たな・・・（悔し気に）クッ、桁違いに強過ぎる・・・」 夏美「ギロロ・・・待ってて、すぐに終わらすから（ギロロを見詰めて微笑む）」 ギロロ「（夏美を見て）待て！ いくらお前でも・・・」 ゴアやケロロたちに背を向けて立ち上がる夏美。 ケロロ「さーて、どうするでありますか夏美殿？ （ニヤ、と笑い）アンゴル族には砲撃もビームも一切効かない でありますよ？」 タママ「（黒く笑い）こーんなおっきな相手じゃサブミッションも掛けようがないですからねぇ」 ケロロ「（高笑いつつ）ゲーロゲロゲロ！ 跪けッ！ 命乞いをしろッ！」 タママ「（満面の黒い笑みで）日向家全権を譲ってくれれば救けてあげますよッ！」 ザ・・・と一陣の風が吹き抜ける。 夏美「（背を向けたまま）言いたいことはそれだけ？」 ケロロとタママ、口を開けたまま笑いの途中で凍て付いて動きを停止する。 夏美「思ってるコトはすべて言っときなさいよ。それがアンタたちの・・・（振り向いて、ギン！と眼光を光らせ） 遺言になるんだから」 ケロロ「（思い切りたじろいで）ヒエエエッ!!!」 タママ「（慄きつつ）軍曹さん！ 怯んじゃダメですぅ！ ナッチーのいつものテですよ！ 大王に勝てるワケない んですから！ （ゴアに向かって）やーっておしまいですぅ！」 ブワアッ、と一気に襲い掛かってくるゴア。 右手を大きく振り上げて、夏美に向かって振り下ろす。 ブウン！と猛烈な音を発して割れる空気。夏美は平然と立ったまま。 夏美「（冷静に）言った筈よね？ サブミッションは王者の技・・・極められない関節など・・・」 フシュッ、と夏美の姿が消え、ゴアの右手は空振りとなる。 次の瞬間、ゴアの太い右腕を、タタタタタタタ・・・と駆け上がっていく夏美。 驚いて彼女を捕まえようと、左手を持ってくるゴア。 タッ！と腕を蹴って宙に舞い、その左手の指に手を掛ける夏美。 あっという間にゴアの左手の人差し指と中指を“４の字”に極める。 夏美「ないっ!!! ナツミ指四の字固めっ!!!」グボギッ ゴア「（悲鳴）ぐあああああッッッッ!!!」 夏美、両脚でゴアの左指２本を捩じ上げて固め、渾身の力を込める。 この世の物とは思えない凄まじい絶叫が轟き、夏美とモア以外の全員が耳を塞ぐ。 バッ、と組を解き、スタッ、と地面に降りる夏美。 ゴア「イテテテテ・・・（夏美をよくよく見て）あっ！ お前はあの時の！」 夏美「（笑顔で）久し振りねぇ、アンゴル＝ゴア」 ゴア「（恐慌と絶叫）ギャ―――ッ！ お助けェ―――ッ!!!」 シュルルルルル・・・と、一気に指輪の中に飛び込んで姿を消すゴア。 沈黙。 沈黙。 沈黙。 唖然としていたケロロとタママ、少しずつ表情を崩壊させる。 ケロロ・タママ「「ええええええッ!!!」」 ゴアの消え去った指輪に向かって、にこやかに手を振っているモア。 モア「お父様ぁ、お正月には帰省しますねー」 ギロロ「（茫然として）夏美、お前・・・大王相手に何をしたんだ!?」 へたり、と地面に座り込んでしまうケロロとタママ。 そこに、ザッ、ザッ、ともの凄くゆっくりとした動作で近寄っていく夏美。 顔を伏せ、言いようのない怒りの雰囲気を惜しみなく放っている。 ケロロ・タママ「「（脚が竦んで動けず）あわわわわ・・・」」 夏美「（抑揚のない調子で）ボケガエル、タママ・・・今度オイタをしたら・・・アンタらの身体中の関節を極めて 極めて極め抜いて・・・」 バッ、と顔を上げ、ギャンッ！と弓矢のような目線を突き刺して睨む夏美。 夏美「（重低音の声で）肉骨粉にするからねっ!!!!!」 ケロロ「（悲鳴）キィィィィィヤァァァァァッッッ!!!」 タママ「（悲鳴）ごめんなさいですぅぅぅぅッ!!!」 夏美「（キッと睨んで）判ったらさっさと帰って家事に専念しなさい！ 手を抜いたらどうなるか・・・」 ケロロ「了解であります！ 帰還するぞタママ二等！」 タママ「はいですぅ！」 今までの硬直が嘘のように飛び起き、ビシッ！と鮮やかな敬礼を夏美に向けるケロロとタママ。 そして踵を返し、全身全霊の全力疾走で校門から走り出ていく。 ふう、と息をつく夏美。隣にモアが寄ってくる。 モア「（感心したように）夏美さんとお父様がお知り合いだったって、初めて知りました」 夏美「まあ、ちょっとね。でも、ボケガエルに召喚されたのは運が悪かったわね。後で薬、送っとくわ」 モア「すいません、お気遣い頂いて。じゃあ夏美さん、私も先に帰りますね。おじ様のお手伝いしたいんで」 夏美「オッケー。あたしはギロロと後から帰るね」 軽やかな足取りで校門を出て行くモア。 それを見届けて、夏美、ギロロの眼前に屈んで怪我の具合を見る。 通学鞄から応急処置セットを取り出し、消毒液を噴き掛け始める。 痛みと滲みに顔を顰めながら、夏美を見詰めるギロロ。 ギロロ「やはり甘いところがあるな、夏美。『獅子は兎を狩る時は全力を尽くす』とペコポンの諺にあるでは ないか」 夏美「（笑顔で）そりゃそうよ、もちろん全力を尽くすわよ。（眼光鋭く、ニッ、と笑って）“狩る”時はね」 ギロロ「（フッ、と笑い）大したものだ・・・」 夏美「それと・・・（ギロロに顔を寄せ）あたしが一番甘いのは、アンタに対してだからね」 ギロロ「（赤面しつつ）あ、ああ・・・」 【Ｎ】「ここでもやはり、王者の強さを思う存分知らしめた夏美ちゃん。ギロロ伍長とのラヴラヴも絶好調で、地球 防衛に恋に一所懸命の毎日なのでした。いずれまた、彼女の活躍をお届け出来るかも知れませんので、 マターリお待ち下さいませー」 夜、ギロロのテント内。 ケロン星との無線通信中。 ガルル『それにしてもギロロ・・・お前やられっ放しだな』 ギロロ「（大声で）余計なお世話だッ!!!」 ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ ED主題歌「骨ある限り榮えあれ！ver.723」 作詞：枯堂夏子 変作詞：桁石スミオ 作曲：高木隆次 唄：日向夏美（斎藤千和） ♪ 膝を逆さに曲げたれば 地球侵略の信念も捻じ曲がる 善も正義も真実も 痛みの前では消え失せり 骨のあるケロン 関節もある 見よ！ 皇のサブミッション 喧嘩三昧明け暮れて デビルサマーと畏怖された小学校 嘘も詭弁も弄さずも 力示せば跪く ケロン制すは 日向の定め 世に磐石のサブミッション 骨ある限り榮えあれ！ |
