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【Ｎ】「さあさ皆さん！ 今回は特別番組『魁！ ギロ夏30分！』をお届けします！ 何ともへっぽこでラヴラヴなお 話が、豪華６本立て！ 長いネタにならなかったから纏めたというのは激しくナイショです！ んでは、いっ てみよーっ!!!」 ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ ★ 「ギロロ アイドルデビュー！」であります！ ケロロの部屋に集まっている小隊メンバー。 ギロロ「・・・で、俺に何の用だ？」 ケロロ「今回の作戦は、ギロロ伍長メインなのでありますよ」 ギロロ「（眉を寄せて）作戦なのか。しかし、俺がメインだと？」 クルル「（ノートパソコンの画面を見せ）作戦はこうだぜぇ。先輩がリーダーで、俺とドロロ先輩の３人でアイドル ユニットを結成して・・・」 ギロロ「待て待てっ！ 今、何と言った？」 クルル「ア・イ・ド・ル・ユ・ニ・ッ・ト。く〜っくっくっく」 ケロロ「こないだTV観てたらさー、何か面白い歌唄ってる男性３人組がいて、みんなからキャーキャー言われ てたのよん。女の子にすっげー人気あってさ、あ、こりゃー使えるじゃん、これならペコポンの女の子たち を虜にして、そっから人身掌握で一気に侵略しちゃうってなわけよこれが！」 ギロロ「し、しかしだな・・・何もアイドルじゃなくても、違う方向で・・・」 タママ「伍長さん解ってないですねー。今まさにブレイクしてるからこそ、その波に乗れるんじゃないですかぁ」 ケロロ「そう、タママ二等の言う通り！ ここが攻め時なの！」 ドロロ「アイドルはよく解らぬが、平和的に皆の心を纏めるのなら依存はござらん」 クルル「んじゃ、企画はこんなんでイッチャウ？ （キーボードのリターンキーを押し）ぽちっとぉ！」 ユニット名：『好奇心』 リーダー：真っ赤に燃える熱血漢・ギロロ（芸名・ギロのたけし） 担当『好』 メンバー：電波でトリップな電脳マン・クルル（芸名・クル地ゆうすけ） 担当『奇』 メンバー：クールで爽やかな好青年・ドロロ（芸名・ドロ保なおき） 担当『心』 ギロロ「（唖然として）・・・な、な、何だこれはっ！ いくら何でも無理があり過ぎだっ！」 ケロロ「んなこたぁない！ よーし、そんじゃ早速、ペコポン人スーツの衣装合わせと歌のレッスンいってみ よーっ！」 【Ｎ】「こうして、アイドルユニット『好奇心』が結成され、彼らの歌声が全国に広がったのでありました」 ♪ こーきしん こーきしん おれたちーはー パワーはいつも どんなときも まけやっしっないっさー しんりゃく！ しんりゃく！ しんりゃく！ ゆめでいきてるぅー 【Ｎ】「だがしかし！ 二番煎じはウケないのが世の常！ 返品の山となっちゃったんですよ」 ケロロの部屋に溢れ返る、CDの返品。その前で ＿|￣|○ としているケロロ。 呆れ果てた表情で腕組みをして見ている、夏美とギロロ。 ギロロ「（怒り）だからこの作戦は無理だと言ったんだ！ 貴様！ 予算使い果たしてどうするつもりだ！」 夏美「さっさと処分しなさいよねー。邪魔でしょーがないから」 ケロロ「（ボロ泣き）何でぇ〜、何で人気出ないの〜」 夏美「どーせ歌でCD出すんだったら、ギロロとあたしで出せばよかったのに。前にふたりで２曲唄ってるし、実 績もあるからそこそこイイとこイクんじゃない？ ね、ギロロ？」 ギロロ「（赤面）ま、まあ、どうしてもと言うなら仕方ない、な」 ケロロ「（持ち直して立ち上がり）なるほどいい考えであります！ んじゃ早速！」 ♪ うーちゅうでひーとつ ぎーんがでひーとつ わーかいふたーりが はーじめてあーった ほーんとーの こーいの もーのがーたりぃー 【Ｎ】「で、ギロロ伍長と夏美ちゃん（芸名・ギロ原裕次郎＆日向村夏美子）のデュエット曲『銀河の恋の物 語』は、何と宇宙ヲリコンチャート初登場２位を記録する大ヒットを飛ばしまして、ケロロ小隊への印税も ガッポガッポ入ったのですが・・・秋ママが税金と称して持ってったり、今までの侵略予算の損失補填で根 こそぎ持ってかれて・・・軍曹に残ったお金は10円となりましたとさ。めでたしめでたし」 ケロロ「（号泣）めでたくないでありまーす！」 ★ 「夏美 キスの味」であります！ リビングでTVを見ている冬樹。反対側のソファーで雑誌を読んでる夏美。 TVでは、洋画の濃厚なキスシーンが放映されている。 冬樹「（頬を染め）うっわー、何かこのシーン長いよー。何で外国映画って、やたらキスシーン長いのかなぁ。 ストーリーと関係なさそうなんだけど」 夏美「（雑誌を見たまま）盛り上げようとしてるんじゃないの？ いちいち目くじら立てることもないわよ」 冬樹「・・・姉ちゃん、やけに冷静だね」 夏美「（まだ雑誌を見たまま）そう？ 映画じゃよくあるじゃない」 冬樹、ピーン、と何かに気付く。 冬樹「・・・伍長の唇って、柔らかい？」 夏美「（雑誌から目を上げず）少し固めかなぁ」 ハッ、と思わず顔を上げる夏美。 こちらを見て、悪戯っぽい笑顔を浮かべている冬樹。 ポロ、と雑誌を膝の上に落とす夏美。見る見る顔が真っ赤になる。 TVを消して、ニコニコと笑ってリビングを出ようとする冬樹。 冬樹「（夏美を振り向き）あとは自分の部屋で観るから。ごゆっくりー」 夏美「（大声で、赤面して）ま、待ちなさい冬樹っ！ アンタ何言って・・・」 ギロロ「どうした？ 夏美」 はた、と動きを停止して、声がしたサッシの方を向く夏美。 サッシを開いた向こうの庭から、リビングに上がってくるギロロ。 既に冬樹は立ち去り、階段を昇る音が聞こえる。 ギロロ「何があった？ 顔が真っ赤だぞ」 夏美「（大慌て）な！ ななななな何でもないわよ！ 何でもないから！ アンタの唇が少し固めだけどイイ 感じだなんて言ってないから！」 ギロロ「（いきなり赤面）んなぁっ！ 何だとぉぉぉっ！」 僅かの間の後、盛大に湯気を噴きまくって見詰め合い、そして俯くふたり。 【Ｎ】「・・・えーと・・・確かにそこまで言ってませんでしたよ、夏美ちゃん。何にしても、ご馳走様です、おふたり さん」 ★ 「ギロロ Dramaticが止まらない」であります！ 地下ミーティングルームに集まっている小隊一同。 ケロロ「つーわけで、今回の侵略作戦はドラマ撮影であります！」 ギロロ「（立ち上がり）・・・俺は降りる」 ケロロ「うえっ！ 何でよ！ まーだ説明もしてねーじゃん」 ギロロ「貴様今まで何回似たような作戦立てたか忘れたのかッ！」 ケロロ「・・・忘れた」 ギロロ「（怒り）だーっ！ 話にならん！ 同様の作戦の度にえらい目に遭ってきたんだ！ 侵略予算の 無駄遣いもいいところだ！ （扉に歩み寄り）馬鹿馬鹿しい。やるなら勝手にやれ。俺は参加せん」 ケロロ「（ニヤッ、と笑い）ギロロく〜ん、この作戦って夏美殿がヒロイン・・・」 ギロロ「（振り向いて睨み）その手は食わんぞ。夏美が納得して侵略作戦に参加する筈がなかろう。夏美を騙し て巻き込もうものなら（ジャキッ、と銃を転送して手に持ち）脳味噌の風通しを良くしてやる」 ケロロ「（ジト汗）わ、判ったよ〜。んじゃ考え直すからさ〜。したらまた呼ぶね」 ギロロ、部屋を出て行く。 日向家一階に上がり、リビングに入る。 ギロロ「（ハッ、と顔を上げ）夏美？ 何を読んでいる？」 夏美「（ギロロを見て）あ、これ？ 台本よ。今度の学園祭用に録るドラマの、ね」 ギロロ「ドラマ？」 夏美「そうよー、ってアンタも同じのもらってるでしょ？」 ギロロ「・・・何の話だ？」 夏美「聞いてないの？ アンタたちも地球人スーツで出るんじゃない。脚本が冬樹で、キャストとか撮影とかは ボケガエルたちがやるって話よ。こないだ当番をサボッた罰にお仕置きして、その見返りってワケなんだ ケドね。第一ギロロ、アンタはあたしと主役やるのよ？」 ギロロ「（驚いて、頬を染めて）んな・・・何だとぉぉぉ!!!」 夏美「（台本を差し出し）ホラ、ちょっと読んでみなさいよ」 『Ｇメン2008』 ♪ チャララー チャラララーラーラーララッララー ドコドコドン 【Ｎ】「ハードボイルド、Ｇメン2008。熱い心を強い意志で包んだ人間たち」 ケロ木警視：ケロロ軍曹 ギロ屋警部補：ギロロ伍長 ドロ野刑事：ドロロ兵長 タマ坂刑事：タママ二等兵 響 夏美刑事：日向夏美 冬田刑事：日向冬樹 クル切警視：クルル曹長 （中略） ギロ屋「これを・・・夏美・・・」 夏美「これって・・・指輪？」 ギロ屋「給料の３ヶ月分だ。う、受け取ってくれ・・・」 夏美「・・・嬉しい・・・」 （中略） 夏美「しっかりして！ ギロ屋さん！」 ギロ屋「ふっ・・・俺ともあろう者が・・・ヘマしちまったな・・・」 夏美「・・・お願い！ 目を開けて！」 ギロ屋「泣くな、夏美・・・いい女が台無しだぞ・・・ガクッ」 夏美「ギロ屋さぁぁぁん!!!」 （中略） 真犯人「ぬぅ！ 貴様生きてたのかッ！」 ギロ屋「ふっ・・・生憎と、俺は不死身なんでな。夏美への愛ある限り、俺は死なん」 夏美「ギロ屋さん！ よかった・・・」 ギロ屋「待たせたな、夏美。新婚旅行は、地中海クルーズと洒落込むか」 （後略） ギロロ「（ワナワナと震え）な・・・何なんだこれは・・・」 夏美「（頬を染めて）ちょっと恥ずかしいケド、ギロロと一緒に出来るんならイイかなー、って思ってね。ま、もしか したら侵略作戦なのかも知れないって思ったケドさ、そーだったら侵略だけ阻止してドラマ作っちゃう手も あるかな、ってね。ふふっ（笑顔）」 ギロロ「（茫然と）・・・待ってろ、夏美。すぐに戻る」 夏美「いいわよ。後で“読み合わせ”しようね、ギロロ」 ダッシュでリビングを走り出て、再びミーティングルームに向かうギロロ。 自動扉を蹴破って中に飛び込む。 ギロロ「ケロロ！ 台本をよこせ！ 作戦決行だ！・・・って、何ッ？」 部屋中に広がる、パテで作ったフィギュアのパーツ。 その中でチマチマとパーツを組み立ててるケロロ、タママ、クルル、ドロロ、モア。 ケロロ「あ、どーしたのギロロ？」 ギロロ「（呆けて）・・・こ、これは何事だ？」 ケロロ「これ？ ドラマ作戦は中止っつーことでさ、代わりの作戦立てたのよん」 クルル「今度はハンバーガーチェーンとの侵略作戦コラボだぜぇ。俺たちのオモチャを作って、それを子供向け の廉価なセットとして売り出しゃあよ、たちまちキッズのハートをゲットォ！ 大人を侵略するには、まずは 子供からって訳だ。こいつぁイケるぜぇ。く〜っくっくっく」 ギロロ「（愕然と）じゃ・・・じゃあ、ドラマの台本なんかは・・・」 ドロロ「もう回収業者に出したでござるよ。地球環境を守る為のリサイクル故」 ギロロ「（ショック）んなにぃぃぃぃぃ!!!」 【Ｎ】「あーらら・・・まさかこんな結果になろうとは・・・おや、ギロロ伍長、夏美ちゃんが呼んでますよ？」 夏美「結局、ドラマの撮影中止なんですって？ もう、今更何よぉ」 ギロロ「（白色化したまま）・・・すまん・・・」 夏美「ギロロが謝ることないでしょ？ どーせボケガエルが逃げたに違いないわ」 ギロロ「・・・あ、いや、それは・・・」 夏美「（少し頬を染め）ね、ギロロ、ちょっとお願いがあるんだケド・・・」 ギロロ「・・・何だ？」 夏美「（口籠もって）せ、折角覚えたから、さ・・・（台本を取り出し）ちょっとだけでいいから、あたしと読み合わせ やってくれない？ アンタとの共演シーンだけでも・・・」 ギロロ「（ハッ、として）え？ だ、だが、俺は台詞も何も覚えてないぞ？」 夏美「だからさ・・・これを、一緒に読んでほしいな、ってコト・・・（赤面）」 ギロロ、夏美を見上げて頬を染めていく。 そしてしっかりとした眼差しを向け、大きく頷く。 ギロロ「（口許に笑みを浮かべ）そうだな・・・折角だから、ドラマを味わってみるか」 夏美「（柔らかい微笑みで）ありがと。じゃあ、あたしの部屋で・・・ね？」 【Ｎ】「おやおや、思わぬ展開で良かったですねぇ。この後ふたりは、ちょっとしたロマンス気分を楽しんだそー です。みんなもドラマティック、してみます？」 ★ 「夏美 愛情たっぷり」であります！ 地下中央司令室で各席に座っているクルル、タママ、モア。 メインパネルを見上げて、後ろ手に組んで立つケロロ。 パネルには、日向家キッチンの様子。 夏美が料理を作っており、後ろの食卓の椅子にギロロが座っている。 タママ「軍曹さーん、本当に上手く行くんですかぁ？」 ケロロ「（ニヤッ、と笑い）ゲーロゲロゲロ！ 準備は万全でありますよタママ二等。最近ベッタリな夏美殿とギロ ロの関係を侵略作戦に組み込んだ、まさに瓢箪からコマ作戦っつー訳よこれが！」 クルル「今まで日向夏美から発せられたおっさんへの愛情エネルギーを、（背後の機械を指差し）この『ラヴカッ プリング増殖マシン』に溜め込んでおいたんだけどよぉ、今日辺りでゲージマックス超えそうなんだぜぇ」 ケロロ「そっ！ このマシンが発動したら最後、イチャイチャスキー粒子を浴びた連中は片っ端からカップルにな り捲くり、ラヴラヴな時間に現をぬかして腑抜けになっちゃってるその間に、愚かなるペコポン人どもを 侵略しちゃおうってな完璧な作戦でありますよん！」 突然、キラーン、と目が光るタママとモア。 タママ 《ってことは・・・あれを浴びれば僕と軍曹さんも・・・》 モア 《あれを浴びれば私とおじさまも・・・ってゆうかぁ、恋愛成就？》 キッチンでは、夏美がギロロの前に食事を盛り付けた皿と箸を置く。 ギロロ『これは、何という物だ？』 夏美『焼うどんよ。お昼の時間とズレちゃったから、簡単に作れるモノで悪いケド・・・その代わり、その・・・（頬 を染め、小声で）愛情はたっぷり込めたつもりだから・・・』 ギロロ『（真っ赤になり）あ・・・いつも、すまん・・・じゃあ、頂く』 夏美『（ギロロの前に座り）どうぞ。いっぱい食べてね』 司令室のコンソール、ゲージが見る見る上昇していく。 ケロロ「（両拳を握り）おおおお・・・流石は夏美殿、ギロロへの愛情マックスでありますな！」 ピーッ、とアラーム音。コンソールモニターには“Full Gauge”と表示。 ケロロ「（クルルを指差し）今であります！ マシン始動ッ！」 クルル「（キーボードのエンターキーを叩き）ぽちっとぉ！」 途端、いきなり立ち上がるタママとモア。 両人、ケロロの手を片方ずつ取って引っ張り、全力で走って装置に飛び掛っていく。 ケロロ「（驚いて）ちょ！ ちょっと何すんのーっ!?」 タママ「軍曹さんとラヴラヴになるのは僕ですぅぅぅぅっ!!!」 モア「おじさまとラヴラヴになるのは私ですぅぅぅぅっ!!!」 ケロロ「（大慌て）わわわわ！ ふたりとも落ち着いてぇっ！」 凄まじい勢いそのままで装置に衝突する３人。 ゴギン！と嫌な音が司令室内に響く。プシュッ、と装置が停止。 ピリリリリリリ・・・と警報音がコンソールより流れ始める。 クルル「（凝固して）あ・・・やべ・・・」 ピカッ ドッガァァァァァァァァン!!!!! ズズズズズズ・・・ 日向家キッチン。 足元の床から響いてくる重低音に、訝し気に顔を見合すギロロと夏美。 暫くして音が治まった頃に、再び箸を進めるギロロ。 ギロロ「（麺を飲み込んで）うむ、美味いぞ、夏美」 夏美「（ニッコリと）良かった。そう言ってもらえて」 【Ｎ】「まあ結局、愛情パワーを侵略に利用しちゃいかん、って訳ですよ。勉強になりましたね、ケロロ軍曹？」 ★ 「夏美＆ギロロ 君がッ！泣くまでッ！殴るのをやめないッ！」であります！ ケロロの部屋。全身硬直で白目を剥いて横たわっているギロロ。 傍らで心配気な眼差し彼に向け、それから怒りの形相で立ち上がる夏美。 右目にスカウタータイプのゴーグルを装備して、腰に手を当てて部屋中央に立つケロロ。 ケロロ「ゲロゲロリ。さっさと日向家指揮権を譲渡するでありますよ、夏美殿」 夏美「（睨んで）・・・冗談じゃないわ。誰が譲るもんですか」 ケロロ「しかーし！ 残念ながら夏美殿の攻撃は、すべてこの『YES-NOスカウター』でバレバレなのであります よ。相手のココロを読めるこれがあれば、夏美殿とて最早赤子同然。ギロロは我輩の邪魔をした罰とし て、ちょーっとおねんねしてもらってるでありますがねっ！」 夏美「ふざけないでよっ！」 右の拳を振り上げる夏美。 ケロロ「（指差し）右手で殴るっ！」 ハッ、として、瞬間的に左腕に切り替える夏美。 〔 ＮＯ！ 〕 左から来たパンチを鮮やかに避けるケロロ。 拳が空を切り、茫然とする夏美。 夏美「・・・どうして？」 ケロロ「（ニヤッ、と笑い）だから言ったでありましょう？ 攻撃が読めるって」 【Ｎ】「それから夏美ちゃんは何度も攻撃を仕掛けたんですが、言葉に反応する心を完全に読まれて一発も当た らず、とうとう床に座り込んでしまったのです」 息が上がって俯いて座る夏美。 ケロロ「（勝ち誇った顔で）ここまででありますなぁ夏美殿・・・では、まずは今まで積もりに積もったお仕置きへ の恨みを返させてもらうであります・・・宇宙ナメクジ、カモーン！」 途端、宇宙ナメクジが４匹空中に現れ、ボタボタッ、と夏美の周囲の床に落ちる。 顔面蒼白になる夏美。全身を震わせて硬直する。 ケロロ「（右手を振り抜き）襲えぇぇぇぇッ!!!」 夏美に飛び掛かっていく宇宙ナメクジ。 夏美「（涙目で、絶叫）救けてギロロぉぉぉぉぉ!!!」 突然。 バシュッ！バシュッ！、とビームが矢継ぎ早に宙を裂く。 それは瞬時にして４匹の宇宙ナメクジを射抜く。 ボトッボトッ、と床に落下して動かなくなり、シュウウウ、と消滅する宇宙ナメクジ。 ケロロ「（驚愕）何ですとォォォッ！」 目を丸くするケロロ。夏美の背後を見て凍て付く。 夏美が恐る恐る振り返ると、そこには銃を構えて前方を睨むギロロの姿。 夏美「（涙を散らしながら、笑顔で）ギロロっ！」 ギロロ「すまんな、夏美。不覚を取ってしまった。もう大丈夫だ。安心しろ」 夏美「（声を湿らせ、嬉しそうに）・・・うん！」 ケロロ「何で!? 何で復活しちゃう訳ッ!?」 ギロロ「貴様は夏美と俺の関係を甘く見てたようだな・・・例え地獄の淵からでも、夏美が呼べば俺は戻ってく る。肝に銘じろ」 ケロロ「（冷や汗を流して）そ、そーでありますかぁ・・・それは凄いッスねー・・・んではそーいうことで・・・」 強張った笑顔で、そろーり、と逃げようとするケロロ。 途端、ガシッ！と頭を鷲掴みにされる。 そーっと振り向くと、背後に炎を背負って両眼を赤く光らせた夏美とギロロ。 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・ 夏美「（怒り）さてと！ 後はアンタの始末だけね」 ケロロ「ドッキーン！ （土下座して）許して夏美殿！ ギロロだって元に戻ったでしょ!? 許して！ ねっ！ ねっ！ ねっ！」 夏美「・・・許すか許さないか、心の中を読んでみなさいよ・・・」 〔 ＮＯ！ ＮＯ！ ＮＯ！ 〕 ケロロ「ヒィィエェェ！」 夏美「・・・質問よ。右の拳で殴る？ 左の拳で殴る？ 当ててみなさい」 ケロロ「（震えて）ひ・・・一思いに右でやってほしいであります・・・」 〔 ＮＯ！ ＮＯ！ ＮＯ！ 〕 ケロロ「（怯えまくって）ひ・・・左？」 〔 ＮＯ！ ＮＯ！ ＮＯ！ ＮＯ！ 〕 ケロロ「りょ・・・りょーほーですかぁぁぁぁ〜？」 〔 ＹＥＳ！ ＹＥＳ！ ＹＥＳ！ ＹＥＳ！ ＹＥＳ！ 〕 ケロロ「（恐慌）もしかしてギロギロですか―――ッ!?」 〔 ＹＥＳ！ 〕 ギロロ、武器を転送して全身フル装備となる。 ジャキィィィンッ！と全部をケロロに向けて砲撃開始。 ギロロ「ギロギロギロギロギロギロギロギロギロギロギロギロギロギロギロギロ ギロギロギロギロギロギロギロギロギロギロギロォォォォォッ!!!」 ドドドドドドドドドドドドドドドッ!!! ケロロ「（絶叫）キィィィィィヤァァァァァァァッ!!!」 ド―――――ン 【Ｎ】「ケロロ軍曹、再起不能、リタイヤ。つーか殴られてませんが」 夏美「やれやれね」 ★ 「ギロロ＆夏美 こんにちわ赤ちゃん」であります！ 日向家。中庭からリビングに、ちょっと拗ねた表情で上がってくる夏美。 キッチンからリビングに入ってきた秋、訝し気な顔になる。 秋「どうしたの、夏美？」 夏美「どうしたもこうしたもないわよ。ギロロったらさ、（口を尖らせ）『最初は絶対男の子がいい』って譲らない んだもん」 秋「男の子？」 夏美「そっ。あたしはぜーったい最初は女の子がイイんだけどなー」 秋、思い切り眉間に皺を寄せる。 秋「（やや重い声で）夏美・・・すぐにギロちゃん呼んで来て」 夏美「え？ あ、うん。解った」 リビングのソファーで向かい合って座る３人。 並んで座るギロロと夏美。テーブルを挟んで秋が座る。 秋「（ふう、と息を吐き）そういうことはすぐに私に話しなさい」 ギロロ「そうなのか？ それはすまなかった（頭を下げる）」 秋「（夏美を見て）病院には行ったの？」 夏美「病院？ 何で？」 秋「（怒ったように）当たり前です。今ならまだ診療時間内だから、すぐに支度して」 夏美「ちょ・・・ちょっとママ、あたし何処も悪くないわよ」 秋「悪かったら大変でしょ？ お腹の子に差し支えるから」 沈黙。 ギロロ・夏美「「お腹の子ぉぉぉぉ!!??!!??」」 秋「（きょとん、として）最初はどっちが産まれるかで揉めてたんじゃないの？」 ギロロ「（大赤面）待て待て待てッ！ それは何の話だッ!?」 夏美「（大赤面）アレは仮定の話よママっ！ 『自分が親になったら最初に男の子と女の子、どっちがほしいか』 ってギロロと話してただけよっ！」 秋「あら？・・・（口許に右手を当て）ごめんなさい、早トチリしちゃったみたいね」 盛大に、はあああぁ、と溜め息をついて項垂れるギロロと夏美。 冷や汗を浮かべ、申し訳なそうな苦笑を見せて立ち上がる秋。 秋「（後退りして）じゃ、後はふたりで話し合ってねー」 ギロロ「（慌てて）お、おいっ！ 勘違いした上に放置かっ!?」 そそくさ、と廊下に出て行く秋。 しかし姿を隠した直後、ヒョイ、と顔だけ覗かせる。 秋「（笑顔で）ちなみに私はどっちでもいいわよ、初孫」 ギロロ「はあっ？」 秋「女の子だったらギロちゃん似かしらね、夏美？」 言い残して、トタトタと廊下を歩き去っていく秋。 茫然とソファーに座るふたり。 ふと、互いに顔を向け、視線が宙で合わさる。 途端。 カアッ、と同時に全身真っ赤に染まり、顔から湯気を上らせるギロロと夏美。 夏美「（上擦った声で）さ、さ、先の話よね。先の話・・・」 ギロロ「（裏返りそうな声で）そ、そうだな。さ、先の、は、話だな・・・」 【Ｎ】「ちなみにこの後、ギロロ伍長と夏美ちゃんは赤くなったまま、小一時間ほど並んで座っていたのでした。 いやー、青春の１ページですねー。そしてその夜・・・」 野営テント内で通信機を手に取っているギロロ。 ガルル『俺も最初は男がいいと思うぞ。すると、ひとり目は甥、となるのだな』 ギロロ「誰から聞いたッ!?」 ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ 【Ｎ】「如何でしたか？ ギロロ伍長と夏美ちゃんのラヴっぷりを楽しんで頂けましたでしょーか？ また小ネタが 集まり次第お送りするかも知れませんので、そん時はよろしくお願いしますねー。んではまたっ！」 ガルル「最初は姪というのも悪くないな」 【Ｎ】「・・・貴方もどっちでもいいんですね？ ガルル中尉」 |
