crazy for you

【 Anoter planet : in the near future 】


   I crazy for you, Lady...



『・・・夏美、聞こえるか? 俺だ』
「・・・おそーい」
『今、プロキオン通りを直進中だ。あと5分ほどで着く』
「11時に来るって言ったよね? ギロロ」
『すまん、拠点制圧に手間取った』
「・・・じゃあ、いいよ」
『何?』
「来なくていいよ。もう寝るから」
『・・・判った。引き返す』
「・・・嘘。来てよ、そのまま・・・」
『了解だ』

『あと距離500・・・300・・・200・・・見えてきたぞ。13階の部屋だったな?』
「待って、今、灯り消してみるから」
『モールス信号ではないんだぞ』
「ふふっ」
『では・・・何と打つつもりだ? 夏美』


             「Crazy...for...you...」




「カーテン、閉めてくれ」
「ねぇギロロ、何処に飛行艇停めたの?」
「下に見えるだろう? 街灯が点滅している、下の繁みの中だ」
「あそこ、目立つんじゃない?」
「心配ない。アンチバリアに異常はない筈だ」
「軍にはバレバレだと思うんだけど?」
「ここにいるとは露ほどにも思わんさ」
「じゃあ・・・あたしが知らせっちゃおうかなぁ?」
「何処にだ?」
「ケロン軍本部」
「構わん。知らせればいい」
「・・・嘘よ」
「言ってもいいぞ」
「もう、すぐ苛める」
「苛めてなどいない」


「ライト、消せるか?」
「消えるけど?」
「では・・・消してくれ・・・」
「・・・うん・・・」





   Giroro, my love...
   Kiss me tender, and hold me tight forever...

   I crazy for you, Man...


   Natsumi, my love...
   Kiss me tender, and hold me tight forever...

   I crazy for you, Lady...








「・・・宇宙空間にいるみたい・・・」
「まだ・・・浮遊感が取れんな・・・」
「ねぇ、明日もあるんでしょ?」
「ああ、完全制圧までは休めない」
「あたしも行ければなぁ・・・」
「無理言うな。気持ちはありがたく受け取る」
「・・・ギロロったら、すっごい汗」
「む・・・戦闘シミュレーション5回分、と言ったところか」
「やだ、何その例え。これって訓練なのぉ?」
「いや、“実戦”だ。しかも飛び切り甘い、な」
「・・・甘いの苦手じゃなかったの?」
「この甘さなら、いくらでも入りそうだ」
「・・・もう・・・恥ずかしいこと言わないでよ・・・」


「水をもらえるか?」
「あ、うん、ちょっと待ってね」


「何か羽織れ、いくら室内とは言え・・・」
「見てるのアンタだけだもん」
「それはそうだが・・・」
「・・・ホントに、あたしも行けたらいいのにな・・・」
「お前の戦闘力が加われば、確かに制圧も早いだろう」
「・・・でも、地球に飛び火すると・・・取り返しがつかないものね・・・」
「それに、お前と俺がケロン軍指揮下で共闘したとなれば、問題が大きくなる」
「うん・・・」
「気を遣わせてすまんが、今は辛抱してくれ」
「うん・・・」


「はい、お水」
「すまんな」
「ねぇギロロ・・・今度の敵性宇宙人って、記憶操作するんでしょ?」
「ああ」
「・・・もし・・・ギロロが捕まって・・・記憶を弄られたら・・・」
「む・・・」
「・・・あたしのコト・・・忘れちゃうんじゃないかな、って・・・」
「忘れたら・・・」
「・・・忘れたら?・・・」
「・・・思い出す。何度でも思い出す。何度でも思い出してやる」
「・・・ギロロ・・・」
「信じろ。必ず勝つ。それまで待っていろ」
「・・・うん」
「そしてこの作戦が完了したら・・・迎えに来る。一緒にペコポンに帰るぞ、夏美」
「うん・・・一緒に、帰ろう・・・」




「もう?」
「すまん、明日の朝早くから戦略会議がある」
「ちぇーっ」
「ははっ」


「今日は休め、夏美」
「忘れ物よ、はい、鍵」
「ああ、すまん」
「肝心なモノ忘れてどうするのよ?」
「まったくだな」
「ねぇ、さっきの話じゃないケドさ、あたし、同盟宇宙人なんかに変装出来ないかな?」
「・・・難しいが、DNAレベルで一時的に変えられれば不可能ではないな」
「そしたらさ、アンタと一緒にいられるじゃない?」
「方法を当たってみるか」
「もしそれが出来たらさ・・・ケロン軍1万人の中のひとり、になるのね」
「目が合ったら手を振るか?」
「やだ、簡単に見付からないわよ」
「俺がお前を見付けられないと思うか?」
「・・・思わない」
「ご名答、だ」


「ねぇ・・・明日の夜も来れる?」
「連絡を入れる。待っててくれ」
「もし通信が読まれてたら・・・どうするの?」
「そうだな・・・通信傍受された時に備えて、コードネームで送るとするか」
「何て? ねぇギロロ、何て言うの?」



             「...Crazy for you」




   I crazy for you, Man...
   I crazy for you, Lady...




《 From : TMN「crazy for you」 ===including album :「EXPO」=== 》